中国連続爆発 共産党統治への反発の表れか

朝日新聞 2013年11月09日

中国の治安 社会の真の安定には

中国でまた、物騒な事件が起きた。北京につづき、今回は内陸部にある山西省の省都・太原が流血の街となった。

連続爆破が起きた共産党ビル前の大通りは完成当時、その広さから「太原の長安街」と呼ばれた。長安街といえば、先月に北京で車の突入事件があった天安門の面する道である。

ふたつの事件は、その場所柄を考えれば、共産党政権の権威に正面から挑む犯行とも読みとれる。

きょうから開かれる共産党の重要行事、中央委員会第3回全体会議の直前でもあった。不穏な空気を感じざるをえない。

北京の事件はウイグル族の少数民族問題が背景だったが、太原の方は不明な点が多い。

拘束された容疑者は盗みの前科があるとされ、当局は個人的な事件として幕引きを図っているようにみえる。

だが、省内では、炭鉱の事故や閉鎖にからむ労働者の不満が高まっていた。民衆の困窮をかえりみない当局への怒りや絶望感が、犯行を生んだ可能性も捨てきれない。

中国では、毎年十数万件もの抗議活動が起きている。多くは農地収用の補償や、警察の横暴などへの不満からだ。

そうした活動は今のところ、住民と近い地方公務員や党幹部への反抗にとどまっているが、やがては中央を揺るがす事態にも発展しかねない予兆である。

これまで中国の治安が比較的良好に保たれてきたのは、当局が社会の監視と抑制に甚大な力を注いできたからだ。

活動家や知識層の携帯電話や電子メールを傍受し、メディアを統制し、反政権的な動きは芽のうちに摘みとってきた。

しかし、経済発展とともに高まる民主化への渇望や、広がる経済格差への不満が生む市民の行動は、もはや共産党の力をもってしても完全には抑えきれなくなっているのではないか。

政権側に立つ人たちは、欧米流の自由や民主化は、中国社会を混乱させると主張してきた。だが、じわじわと広がる不安定化のきざしを考えると、民主化のとびらを閉じ続けていることが逆に混乱を招いているとみるべきだろう。

言論の自由や結社の自由を認め、政府の透明性を高め、司法の独立を確保し、人々が異議申し立てをふつうにできる回路をつくる。それこそが、今回のような事件を減らし、社会を安定させる王道だ。

中国の人々は、もはや発展と引きかえに自由は諦めねばならぬとは考えていないはずだ。

読売新聞 2013年11月09日

中国連続爆発 共産党統治への反発の表れか

中国の社会不安の深刻さを裏付ける事件が、また発生した。共産党の統治に対する強い反発の表れだろうか。

内陸部にある山西省太原の省党委員会庁舎前で6日、連続爆発が起こり、1人が死亡し、8人が重軽傷を負った。

当局は、地元の41歳の男を拘束した。自宅から手製の爆発装置などが見つかったという。背景や動機は不明だが、党委員会は地方で最高の権力を持つ組織だ。党にとって、衝撃的な事件と言える。

先月末には、毛沢東の巨大な肖像が掲げられた、北京の天安門前に車が突入して炎上する事件が発生したばかりだ。

当局は国際テロ組織の指示を受けた犯行と断定したが、党に個人的な恨みを持つウイグル族住民の仕業との見方も依然根強い。

今回事件が起きた山西省は、石炭の大産地だ。中国の他地域と同様、貧富の格差が顕著である。

炭鉱経営者は、財力に物を言わせて、北京や上海などで不動産を買いあさることで有名だ。採掘許可権限を持つ当局者の腐敗も指摘されて久しい。

炭鉱労働者の多くは、劣悪な環境で働いている。近年の成長減速に伴う石炭価格下落により、職を失った者も多いとみられる。

不満を抱いているのは、炭鉱労働者だけではない。事件のあった党委庁舎の陳情窓口には、不公正な司法や土地の強制収用に抗議する住民が殺到していたという。

労働者や農民には、党幹部が権力をかさに、私腹を肥やしているように見えるのではないか。

中国各地で、党や政府への民衆の不満が引き金となった事件が続発している。集団抗議行動は年間18万件に上るとの情報もある。

今年4月、福建省アモイでは、当局の土地不正取引に反対する住民約4000人が政府庁舎に押しかけた。8月には、広西チワン族自治区で、ダムの放水で死者が出たとして住民約1万人が抗議、警官隊と衝突した。

こうした事態に対し、習近平政権は、「テロ対策」徹底を命じる一方、習国家主席自身が貧しい農村を視察するなど、硬軟両様の姿勢で臨んでいる。だが、成果が上がっているとは言えない。

まもなく2年目に入る習政権は9日から、党の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)を開く。格差是正も視野に入れた経済構造改革などが焦点になるだろう。

民衆の動揺を抑えつつ、安定成長を実現できるのか。習政権は、厳しい(かじ)取りを迫られている。

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