首相や閣僚が国会審議に縛られ、国政にしわ寄せが生じていると言われて久しい。与野党は、審議の改善へ新たなルール作りを急ぐべきだ。
与野党9党の幹事長は、国会対策委員長間で国会改革の具体策の検討に入ることを決めた。
自民、公明の与党と民主党、日本維新の会などは、それぞれ改革案をまとめており、そうした案を軸とした議論になる。
与党は、党首討論を充実させる一方、首相の委員会出席は原則として予算委員会に限ることを提案している。維新の会も党首討論を重視することを主張している。
日本の首相は、他の先進国と比べて国会への出席が格段に多い。これは与野党の共通認識だろう。与党には、外交日程を設定しにくく、首相がじっくり政策を考える時間も少ないとの不満が強い。
首相は委員会に現在ほど出席しなくて済むようにする。その代わりに、党首討論の頻度を増やし、45分間の討論時間を延長する。そうしたルールを設ければ、首相との審議を充実させ、国政への影響も抑えられるだろう。
与党や維新の会が提案するように副大臣の積極的な活用を図るべきだ。閣僚の負担軽減になる。
理解しがたいのは民主党だ。
民主党は、首相の出席抑制について「国会審議を避けるための方便とさせないために、与野党合意に基づく厳格なルール作りを行う」と主張する。
トルコ訪問で、安倍首相が産業競争力強化法案の審議に出席しなかったことも批判している。
だが、民主党は与党時代に、首相や閣僚の海外出張に配慮した弾力的な国会運営や副大臣の活用を提案していた。野党になったから主張を変えるというのでは、「ご都合主義」ではないか。
民主党は、審議の充実策として切れ目のない「通年国会」を提案している。政府・与党と野党が議論の末に妥協し、法案や議案の修正を図るという「熟議の国会」が実現するなら、結構だ。
しかし、政府批判一辺倒のポピュリズム(大衆迎合)型の質問が横行するようでは、建設的な質疑は期待できまい。政府側の答弁準備などの負担も重すぎて、政策遂行に支障が出かねない。
維新の会は、衆参両院の同意を必要とする国会同意人事について、250人以上に上る対象案件を大幅に減らすべきだと主張している。対象を絞ることで、一人一人のチェックも厳密になるとの趣旨だ。検討に値しよう。
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