国会改革 党首討論の活用軸に協議せよ

読売新聞 2013年11月04日

国会改革 党首討論の活用軸に協議せよ

首相や閣僚が国会審議に縛られ、国政にしわ寄せが生じていると言われて久しい。与野党は、審議の改善へ新たなルール作りを急ぐべきだ。

与野党9党の幹事長は、国会対策委員長間で国会改革の具体策の検討に入ることを決めた。

自民、公明の与党と民主党、日本維新の会などは、それぞれ改革案をまとめており、そうした案を軸とした議論になる。

与党は、党首討論を充実させる一方、首相の委員会出席は原則として予算委員会に限ることを提案している。維新の会も党首討論を重視することを主張している。

日本の首相は、他の先進国と比べて国会への出席が格段に多い。これは与野党の共通認識だろう。与党には、外交日程を設定しにくく、首相がじっくり政策を考える時間も少ないとの不満が強い。

首相は委員会に現在ほど出席しなくて済むようにする。その代わりに、党首討論の頻度を増やし、45分間の討論時間を延長する。そうしたルールを設ければ、首相との審議を充実させ、国政への影響も抑えられるだろう。

与党や維新の会が提案するように副大臣の積極的な活用を図るべきだ。閣僚の負担軽減になる。

理解しがたいのは民主党だ。

民主党は、首相の出席抑制について「国会審議を避けるための方便とさせないために、与野党合意に基づく厳格なルール作りを行う」と主張する。

トルコ訪問で、安倍首相が産業競争力強化法案の審議に出席しなかったことも批判している。

だが、民主党は与党時代に、首相や閣僚の海外出張に配慮した弾力的な国会運営や副大臣の活用を提案していた。野党になったから主張を変えるというのでは、「ご都合主義」ではないか。

民主党は、審議の充実策として切れ目のない「通年国会」を提案している。政府・与党と野党が議論の末に妥協し、法案や議案の修正を図るという「熟議の国会」が実現するなら、結構だ。

しかし、政府批判一辺倒のポピュリズム(大衆迎合)型の質問が横行するようでは、建設的な質疑は期待できまい。政府側の答弁準備などの負担も重すぎて、政策遂行に支障が出かねない。

維新の会は、衆参両院の同意を必要とする国会同意人事について、250人以上に上る対象案件を大幅に減らすべきだと主張している。対象を絞ることで、一人一人のチェックも厳密になるとの趣旨だ。検討に値しよう。

産経新聞 2013年11月06日

国会改革 まず党首討論の活性化だ

与野党が政策の中身よりも日程闘争に明け暮れれば議論は深まらない。首相が国会に縛り付けられていては機動的な首脳外交も展開できない。

元凶は悪弊と化している国会の慣習にある。一刻も早く改めるべきだ。国会改革をめぐる協議を始める与野党9党は、審議の充実を図りつつ、「決められる政治」を実現するための具体策をまとめてほしい。

真っ先に実行すべきは党首討論の運営の見直しである。「原則として毎週」という当初の申し合わせは時々の政権の都合で顧みられず、党首討論は年に数回しか開かれていない。首相の国会出席を制限するという与党の提案も、党首討論を頻繁に行うことで実現しやすくなるだろう。

自民、公明両党は首相の委員会出席を原則として両院の予算委員会に限り、出席時間にも上限を設けることなどを提案している。

首相が出席する委員会は、予算委のほか参院決算委、重要法案審議を行う特別委などがある。それを予算委への限定的な出席にとどめるだけでは、「首相の負担を軽減するだけで、国会審議の軽視だ」などと反発を招こう。

だが、首相を長時間、審議に縛り付けてよいわけではない。

国会ごとに両院の予算委で各2日間程度開かれる「基本的質疑」では、答弁の機会のない閣僚も含めて全閣僚が終日留め置かれる。非効率で審議の充実とは無関係な慣習は改めてはどうか。

党首討論を、毎週が無理なら月2回程度の定例開催とし、首相にぶつけたい質問はそこで行えばよい。定例化すれば、あらかじめテーマを決めておいたり、野党第一党以外の党首にもっと時間を回したりすることもできよう。

与党が副大臣の代理答弁を増やし、「閣僚拘束」の緩和を求めるのは、副大臣制度の趣旨に沿い妥当だ。重要な国際会議への閣僚の出席に野党の同意を得られない苦労は、民主党も政権時代に味わった。見直しに同意すべきだ。

民主党が提起した通年国会は検討に値する。法案が会期中に議決されなければ、次の国会に継続されず廃案となる「会期不継続」の原則が、日程闘争を招いてきた。長期間、通常国会を開くことで駆け引きの意味合いも薄れよう。

時々の課題に迅速に対応し、結果を出せる国会のあり方を党派を超えて模索してもらいたい。

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