国会代表質問 野党の連携が試される

朝日新聞 2013年10月17日

代表質問 野党は論戦力を磨け

安倍首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった。

首相が掲げるテーマは「成長戦略実行国会」だが、それだけではない。戦後日本の歩みを大きく変えようと政権が繰り出す数々の政策をめぐり、与野党が腰を据えて議論を尽くすべき重要な国会である。

与野党の数の差は圧倒的だ。与党内の調整がつけば、どんな法案でも成立の見通しが立ってしまう。数で劣る野党は論戦の力を示すしかない。

だが、きのうの衆院本会議では、首相が踏み込んだ答弁を避け、野党が得点をあげる場面はみられなかった。

質問に立った民主党の海江田代表がまず取り上げたのは、福島第一原発の汚染水漏れの問題だった。

首相の「状況はコントロールされている」との発言は、東電フェローの「コントロールされていない」発言と食い違う。

これに対し、首相は「全体として状況はコントロールされている」と答えるだけで、議論は深まらなかった。

首相発言をめぐる応酬を続けても水掛け論になるばかりだろう。むしろ問題は、汚染水漏れを止める道筋を与野党ともに示し切れていないことにある。

民主党政権時代の対応の甘さをみずから検証し、その反省を踏まえて具体的な対案を示す。そういう切実な作業を経てこそ、論戦も迫力を増す。民主党にはそこまで踏み込む責任があるはずだ。

今国会は外交・安全保障も大きなテーマになるが、ここでも議論の進展はなかった。

首相が唱え始めた「積極的平和主義」とは、いったい何なのか。そうただした海江田氏に対し、首相の答えは「世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきだ、との考えを積極的平和主義として掲げた」というものだった。

この論議は、安倍政権がめざす集団的自衛権の行使容認に密接にかかわる。首相は「平和国家の根幹は不変」とも述べたが、集団的自衛権の憲法解釈変更に向けた地ならしではないのか。課題は残る。

「知る権利」にかかわる特定秘密保護法案についても表面的なやりとりに終わったが、今後の審議で論点を洗い出すべきだ。与党が数で押し切ってすむ話ではない。

野党間の隔たりは大きい。だが民主党のみならず、主張に説得力があれば、連携できる一致点も浮かぶだろう。いまの野党が存在意義を示すためには、その道しかあるまい。

毎日新聞 2013年10月17日

国会代表質問 野党の連携が試される

安倍晋三首相の所信表明演説に対する各会派の代表質問が始まった。首相は答弁で福島第1原発事故で深刻化する汚染水問題について「全体として状況はコントロールされている」との認識を示した。

与野党ねじれが解消した国会で野党が「1強」の自民に対抗し、存在感を示せるかは論戦を通じてどこまで争点を形成し、国民に訴えられるかにかかる。国会の緊張感を維持するため、政策テーマ別の野党間連携など工夫を求めたい。

国会で首相の見解がただされるのは久しぶりだ。民主党の海江田万里代表らの質問では首相が演説でふれなかった特定秘密保護法案についても取り上げられ、首相は「適切な対応」を強調した。法案が未提出だからといって、論戦がおろそかになってはならない重要課題である。

海江田氏が質問の冒頭部分で汚染水問題を取り上げ今国会の争点と位置づけたことは理解できる。首相は国際オリンピック委員会(IOC)総会の「状況はコントロールされている」との表現に「全体として」とつけ加えた。しかし、事態の厳しさを直視するのであれば、より踏み込んで危機感を表明すべきだろう。

一方で海江田氏も、汚染水問題に対処する体制のあり方や、同党が主張する脱原発依存に向けたエネルギー戦略について議論を広げようという姿勢はみえなかった。民主党内に原発政策をめぐるさまざまな意見を抱えるとはいえ、踏み込んだ論戦を提起すべきだった。

海江田氏の質問に対し、首相の答弁は総じて淡々としたもので、ねじれ解消を実現した余裕を感じさせた。向こう傷を受けるくらいの気迫で論戦にのぞまないようでは、参院選に惨敗した海江田氏が党首にとどまる意味が改めて問われよう。

日本維新の会の石原慎太郎共同代表の質問は自らの関心である改憲問題や尖閣諸島問題などに集中し、野党が連携し安倍内閣に立ち向かう発想とは遠い内容だった。

国会改革や選挙制度改革などへの民主党の対応をめぐり、野党は早くも足並みの乱れをのぞかせる。国会で可能な一致点を探り共闘する姿を示す努力を野党は怠ってはならない。浮ついた新党論議より、よほど有権者の信頼回復につながるはずだ。

国会召集日、衆院議院運営委員会理事会では国会内に開店した牛丼店「吉野家」に国会限定のメニューがあるという「問題」が取り上げられた。多くの人は「ほかに議論すべきことがあるのでは」と感じたのではないか。

長すぎる空白期間を経て課題は山積している。緊張感を失わずに与野党は論戦にのぞんでほしい。

読売新聞 2013年10月17日

衆院代表質問 野党は建設的論戦を仕掛けよ

衆参の「ねじれ」が解消されて、自民党の「1強」に「多弱」の野党が挑む国会だ。政治の混迷で山積している課題の解決に向け、野党は建設的な論戦を仕掛けてもらいたい。

衆院で安倍首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった。

民主党の海江田代表は、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題に関する首相発言について、「今も状況はコントロールされていると考えるか」とただした。

首相は、「近海の放射性物質の影響は発電所の港湾内の0・3平方キロ・メートルにブロックされている」とし、「全体として」コントロールされていると主張した。

海江田氏が首相の言葉尻をとらえるような質問に終始したのは、物足りなかった。

政府が前面に立って汚染水問題に当たる、という首相の判断は正しい。民主党には、政権党時代に東電任せにして今日の事態を招いたという負い目があろう。

今後の論戦では、野党も政府を批判するだけでなく、汚染水処理のあり方を具体的に提言して議論を深めるべきである。

海江田氏は、来年春に消費税率を5%から8%に引き上げることに伴う経済対策をやり玉に挙げた。政府が検討している復興特別法人税の1年前倒し廃止は「(復興を支える)絆、連帯の精神に反する」と疑念を示した。

これに対し、首相は、強い経済を取り戻すことが被災地にも希望の光をもたらすとし、「足元の経済成長を賃金上昇につなげること」が前提だと強調した。

デフレ脱却は、企業の収益増を賃上げや雇用拡大に結びつける好循環の実現がカギとなる。政府には経済界の協力を得るため、積極的な取り組みが求められる。

経済対策は、海江田氏が懸念するように、「不要、不急の公共事業が目白押し」であってはなるまい。ばらまきではなく、効果的であることが肝要だ。

消費税増税に伴う低所得者対策は、民主党政権以来の宿題である。生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率の導入を明確に打ち出すべきだろう。

国家安全保障会議(日本版NSC)の設置法案とともに検討されている特定秘密保護法案も論議になった。首相は、秘密保全に関する法整備は喫緊の課題としたうえで、「国民の知る権利、報道の自由も重要」との見解を示した。

日本の安全保障戦略に関わる重要な法案だ。与野党で十分論議を尽くさねばならない。

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