温暖化防止 後悔しない政策を早く

朝日新聞 2013年10月03日

温暖化防止 後悔しない政策を早く

確信度は、95%。20世紀半ば以降に進んだ地球温暖化は、人間活動が主な要因であった可能性が「きわめて高い」。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1作業部会が先週、6年ぶり5回目の報告書をまとめた。

前回の報告書では、人間活動に伴う二酸化炭素など温室効果ガスの排出が温暖化を進めているとする主張に、批判が相次いだ。一部論文で間違いが見つかったことも疑念をよんだ。

だが今回、懐疑論を乗り越えて、人類が温暖化を引き起こしていることを、より高い確信度によって指摘した。

9千本以上の論文に基づく報告書案を、科学者1千人以上が点検した。現時点での公約数とも言うべき予測を示した意味は大きい。

報告書によると今世紀末に最大で平均気温が4・8度、平均海面が82センチも上昇しかねない。高温や大雨、干ばつなど極端な気象現象も増えそうだという。

3千メートルより深い深海でも水温が上昇している可能性が高い、などの新しい見解も盛り込まれた。海流の変化で大規模な異常気象を招くかも知れない。

とり返しのつかない事態を避けるため、国際社会は気温上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑えることを長期目標にした。だが、温暖化対策は停滞し、目標達成が難しくなりつつある。

今回の報告書を踏まえて、11月にワルシャワで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議では、世界全体の温室効果ガス排出を一段と減らす方向で議論が進むだろう。

各国政府は「将来、後悔しないための政策」を講じるという原点に戻り、個別利害を超えた地球益・人類益の実現に向けた交渉に力を入れるべきだ。

その点で、日本政府が20年の排出削減目標を05年比6~7%減程度で調整しようとしていることは不十分極まりない。これでは条約が基準とする90年水準より排出が増えかねない。

鳩山政権は「90年比25%減」を国際公約した。事故で原発に期待できなくなったとはいえ、90年と同水準では無気力とのそしりをまぬがれないだろう。

朝日新聞社主催の地球環境フォーラムで豪州の専門家は「子や孫が生きられる世界を残さないといけない。エネルギーや運輸のシステムを変えるには時間がかかる。いますぐ行動に移さないといけない」と語った。

政府だけではない。世界の英知を集めた報告書を、企業や市民、自治体などさまざまなレベルで生かしていきたい。

読売新聞 2013年10月04日

IPCC報告 深刻な温暖化にどう備えるか

地球温暖化対策の重要性が改めて示されたと言えるだろう。

国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、地球温暖化の現状と将来に関する最新の科学的見解をまとめた。

石油や石炭など化石燃料の大量消費により、二酸化炭素(CO2)の排出量が増大し、地球規模の温暖化が引き起こされている可能性が極めて高い、と結論づけた。

十分な対策を講じないと、今世紀末の世界の平均気温は、1986~2005年の平均に比べ、最大4・8度上がると予測した。世界中で熱波や豪雨が増える可能性が非常に高いとも警告した。

海面も今世紀末には最大82センチ上昇する。夏の北極海の海氷も遠からず消滅する恐れがある。

極めて深刻な地球の未来図を描き出したと言えよう。

報告書は5~6年ごとに見直されている。今回は、温暖化について、「95%以上の確率」で人間の活動が原因とし、これまでで最も強く人類の責任を指摘した。

すでに生じている影響にも触れた。例えば、1950年以降、アジア、欧州、豪州で熱波の期間と頻度が増えているという。

日本でも今夏、記録的な豪雨や竜巻が連続して発生した。現時点では温暖化の影響と断じられないものの、異変を実感している人は多いのではないか。

予測には不確かな部分もある。IPCCは195か国の政府が関与し、中立公正を標榜(ひょうぼう)しているが、見解への異論は少なくない。前回の報告書では、データの不適切な扱いが問題になった。

今回は報告書の作成段階で草稿を広く公開するなど、手続きを改善した。信頼を取り戻そうというIPCCの姿勢がうかがえる。

報告書は、最大限の対策を取れば、今世紀末の気温上昇を0・3~1・7度に抑えられると試算している。有効な対策が急務だ。

焦点は、国連気候変動枠組み条約締約国会議の交渉の行方だ。対策の柱だった京都議定書に代わり、2020年にスタート予定の新たな枠組みが重要になる。

京都議定書では温室効果ガスの削減義務を負っていない2大排出国の中国、米国など、すべての主要排出国が参加する実効性のある枠組みにせねばならない。

無論、新たな枠組みが発効するまでの間も、各国は可能な限り対策に取り組む必要がある。

温暖化対策には、発電時にCO2を排出しない原子力発電の活用も欠かせない。

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