TPP交渉 年内妥結へのハードルは高い

読売新聞 2013年09月02日

TPP交渉 年内妥結へのハードルは高い

米国が主張する「年内妥結」へのハードルは高い。対立をどう打開するか。日本は分野ごとに他国との連携も探り、戦略を練らねばならない。

日本が初めて本格参加し、米国、豪州など12か国がブルネイで行っていた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が終了した。

米国が交渉を主導したが、主要分野では大きな進展はなかったようだ。むしろ、知的財産権保護を巡る先進国と新興国の主張の隔たりなど、複雑な構図が一段と浮き彫りになったと言えよう。

12か国は、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に開かれるTPP首脳会合が「年内妥結する重要な節目になる」との共同声明を発表した。

次回交渉は9月中旬に米国で開かれる。米国の思惑通りに10月に大筋合意にこぎつけ、年内に決着できるかどうかは不透明だ。

対立が先鋭化している代表例は医薬品の特許期間である。

有力な製薬企業を抱える米国は新薬開発を促すために特許期間の延長を主張している。しかし、マレーシアなど新興国は、特許が切れた安価な後発医薬品の製造が妨げられると反発した。

自国企業の進出を狙う米国など先進国が、アジア各地の国有企業の優遇措置を撤廃して対等の競争条件を求めている問題でも、マレーシアとベトナムが抵抗し、膠着(こうちゃく)状態が続いた。

さらに難航が予想されるのが、先進国間も含め、各国の利害が錯綜(さくそう)する関税撤廃交渉だ。

日本はブルネイで、関税を撤廃する品目の割合(自由化率)を80%台とする一方、自民党が聖域化を求めるコメ、麦、乳製品など農産品5項目の扱いは「未定」とし、踏み込んだ交渉を避けた。

焦点は、9月以降の大詰めの自由化交渉に日本がどう臨むかだ。TPPは「関税撤廃が原則」で、日本が各国から高水準の自由化率を迫られるのは必至だが、守りを固めるだけが国益ではない。

5項目とはいっても、関税分類上は586品目もある。その中で何を譲り、何を守るのか。国内調整を加速しなければならない。

米国は砂糖、カナダは乳製品など、各国とも重要品目を抱える。相手の弱みを突いたり、連携する国を求めたり、日本はしたたかな交渉力が問われよう。

アジアの活力を取り込み、成長に弾みを付けることが日本の課題だ。米国ペースに左右されず、知財、投資、環境分野などのルール作りも主導してもらいたい。

産経新聞 2013年09月03日

TPP 交渉主導し国益の追求を

経済連携をめぐる交渉は、複雑に入り組んだ利害がぶつかり合う中、自国の利益を最大化しなければならない困難な作業である。

ブルネイで開催された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉会合では、米国と新興国との対立が浮き彫りになった。年内妥結を目指す方針を確認したが、その実現は容易ではない。

参加が遅れた日本に求められるのは、議論が収斂(しゅうれん)していない現状をむしろ好機ととらえ、残りの交渉を主導するしたたかさだ。

日本経済の再生には、環太平洋地域の成長を取り込まなければならない。新たな枠組み作りで各国が歩み寄れる打開策を示せば、日本の存在感は増し、交渉に有利に働く。国益追求へ攻めの姿勢を貫いてほしい。

ブルネイ会合の共同声明は、関税にかかわる市場アクセスや知的財産などの分野で一定の進展があったと評価した。だが、打開の糸口すらみえない項目も多い。

政府から優遇措置を受ける国有企業の扱いでは、民間企業との公平な競争条件を求める米国に対し、マレーシアやベトナムが反発している。米国が薬の特許期間の延長を求める知的財産権をめぐっても新興国側は慎重だ。

発展段階が異なる先進国と新興国が共通ルールを作る際に、軋轢(あつれき)が生じることはよくある。世界全体の新たな貿易ルールを話し合う世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が停滞したのもこのためだ。同じ轍(てつ)を踏まぬよう、各国は交渉をまとめる工夫をこらしてほしい。

一方、コメなど重要5分野の関税死守を目指す日本に対する視線は厳しい。5分野以外の全品目の関税撤廃を約束しても、貿易自由化率は93・5%にしかならないためだ。5分野の農林水産品は586品目にのぼる。100%近い高水準の自由化を求める国からは、さらに譲歩を求められよう。

政府が国民への丁寧な説明を行う姿勢も必要だ。交渉の具体的な中身は公表されない決まりだが、秘密にするだけでは国内で理解を得られない恐れがある。

年内妥結へ時間的猶予は少ない。だが、TPPにはアジアで経済的にも軍事的にも影響力を強める中国を牽制(けんせい)する意味合いがある。決して交渉を不調に終わらせてはならない。

siodgp - 2013/09/22 12:21
TPPで、ケッシュ財団のプラズマリアクターの情報は、このまま握りつぶされるかもしれない。

ttp://www.onpa.tv/2013/08/11/1893

ttp://sunshine849.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

汚染水を食い止め、暴走する原発を収束させる唯一の手段は、これ以外にはないだろう。。。
この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/1517/