全国学力調査 ランキングから卒業を

朝日新聞 2013年08月28日

全国学力調査 ランキングから卒業を

そろそろ順位に一喜一憂するのは卒業したい。6回目になる全国学力調査の結果をみて、そういう思いを深くする。

毎度ランキングが注目を集めるが、実は都道府県の成績に大差はない。ほとんどが平均点前後の狭い範囲に集中している。小学校も中学校も、国語も算数・数学もそれは変わらない。しかも差は年々縮まっている。

わずかな差しかないのなら、細かな順位の違いそのものにこだわることもない。いつも成績のよい県や、ぐんと伸びた県の教え方を学んで手本にする。そちらに力を注ぎたい。

今は都道府県別の成績公表にとどまっている。これを市町村ごとや学校ごとの公表にまで広げるべきか。文部科学省は首長や保護者らにアンケートを配って検討することにした。

これまでは序列化を心配して渋ってきた。しかし、「税金を使う以上、市民には成果を知る権利がある」といった首長や保護者の声に押された。通う小中学校を選べる制度のある地域では、「学校選びの参考になる」という声もある。過去の国の調査では、学校ごとの公表に賛成する保護者が多かった。

しかし、ここは慎重に考えよう。成績が市町村や学校の努力を反映しているとは限らない。

お茶の水女子大が08年度に国の委託で行った調査では、年収の高い家庭の子どもは学力調査の成績がよく、進学塾に通う子はそうでない子より成績がよい傾向がくっきり出た。

県から市、さらに学区と単位を細かく区切るほど、豊かな家庭の集まる地域かどうかの影響は色濃く出る。

ある学校の成績がいいから教え方がいいのかと思いきや、塾に通う子が多いだけだった。そういうことは大いにありうる。逆に、順位は低くても年々上向いているなら、学校の教え方がうまい可能性が高い。

各校の単年度の成績を見てもそういうことはわからない。少なくとも何年か変化を追って成績の伸び具合を示すくらいの工夫をしないと、学校の努力ぶりは見えてこないだろう。

自治体独自の学力調査で学校別の成績を公表した例はある。

あの地域は学力が低い、とネットに書き込まれる。成績を気にして、試験中に先生が生徒に間違いを示唆する。実施した自治体ではそんなことも起きた。

子どもたちの苦手を知り、わかる教え方を工夫するためのテストだ。過去の自分たちと比べてどれだけ伸びたか。ほかの地域や学校との比較より、そこにこだわったほうがいい。

毎日新聞 2013年08月28日

学力テスト 少人数指導で向上図れ

これまでの結果を生かすためには、よりきめ細かな少人数学級の指導がやはり必要だ。

今年度の全国学力・学習状況調査(学力テスト)は4年ぶりに全員参加方式で行われた。実施費は約55億円という。

「基礎知識の問題はできるが、応用が苦手」。2007年度に開始以来、毎回こうした総括が繰り返される。正答率の高低を物差しにした都道府県別順位に関心は傾きがちで、今後これをどう学力向上に生かすかの論議は十分に盛り上がらない。

熱心に取り組む学校や先生たちの努力は成果を上げるだろう。だが、学力、理解度、問題の得手不得手など全体傾向をつかむテストは、一部の抽出調査で足るとされ、民主党の前政権は抽出方式を採った。

また、毎回同様の傾向を確認するためのような連続調査が必要か。一定年の間隔で抽出調査することで的確な把握は可能だろう。

文部科学省は今後も毎年全員参加方式を続けたいという。その意義を一人一人の子供たちの指導資料になることというが、小中学校それぞれ最終学年の子供たちは、その学校で残された指導時間は短い。これも初めから指摘されてきた点だ。

また全員参加方式の場合、一部で学校別正答率公開の動きがあり、昭和の学力テストで起きた序列化をめぐる過度の競争も生じかねない。

自治体レベルで行われている学力テストも多い。先生には日常の授業と指導の積み重ねがある。国が行っているこの学力テストの結果で初めて先生が知る子供たちの理解度、得手不得手などはないだろう。

毎回気になるのは「無解答」という反応だ。国際テストでも日本の子供に目立つといわれる。今回、テストに付随して行う調査で初めて「無解答」の理由を尋ねた。

その中で「問題文の意味がわからなかった」とする子供が多いことに注目したい。設問の難易以前に学習の基本である「読解力」をどうつけるかが課題となる。また中学の国語では、答えを文章で書く問題だったので無解答というのもあった。

文科省は義務教育段階(小中学校)の全学年を40人学級から35人学級にしたいとしているが、財務省は難色を示し、実現は小学1、2年生にとどまっている。

文科省は学力テスト結果の詳細な分析で少人数学級の効果を実証したい考えだが、既に「応用苦手」の傾向や読解力の問題などにその必要性は示されているといってよい。

行き届く目と細やかな指導。それは学力テストだけではなく、相次いだ「いじめ問題」にも浮き彫りになった緊急の重要課題だ。

読売新聞 2013年08月29日

全国学力テスト 苦手分野をどう克服するか

子供たちの苦手な点を見極め、指導に反映させることが重要だ。

文部科学省が4月に実施した全国学力テストの結果を公表した。小学6年生と中学3年生を対象に、国語と算数・数学の基礎的な知識や応用力を調べた。

全員参加方式による学力テストは4年ぶりだ。民主党政権下の抽出方式では分からなかった市町村別や学校別の細かなデータが得られたのは収穫だろう。

成績が振るわなかった学校に教師を手厚く配置するなど、自治体はテスト結果を教育施策に活用できる。今後も全員参加方式を継続し、学力を検証していきたい。

今回の都道府県別の結果では、過去に平均正答率が低迷していた県で改善の兆しが見られた。放課後を利用した補充学習や県独自のテストを組み合わせ、成果に結びつけたところもあった。

2007年から始まった全国学力テストが、各自治体の取り組みを促していると評価できよう。

これまでのテストを通し、子供たちの苦手分野がはっきりしてきている。与えられた資料を読んだ上で自分の考えを書く問題や、解答の理由を論理的に説明する問題などだ。今回も出題されたが、やはり正答率は低かった。

苦手分野の学力の底上げが大きな課題である。文科省はテスト結果を踏まえた授業のアイデア例を作成し、教育委員会などに配布する予定だ。学校現場で子供たちの思考力や表現力を磨く指導を工夫してもらいたい。

同時に実施された意識調査では、中学生の1割近くが、授業で分からないことがあった時、「先生にも友人にも尋ねずにそのままにしておく」と答えた。義務教育の最終段階の大事な時期だけに、気がかりな調査結果である。

国語の記述式問題や数学の証明問題で無解答だった子にその理由を尋ねたところ、そもそも最初から解答をあきらめていた中学生も目立った。

児童生徒の習熟度に応じた授業を導入するなど、指導にあたって、教師がきめ細かな目配りをしていく必要がある。

子供たちの学力向上には、家庭学習もポイントとなる。

調査開始以来、家で授業の復習をしている子供の割合が増加している。今回、小中学生とも約5割になったのは、一定の前進だ。

学校や自治体がテスト結果を保護者に丁寧に説明し、課題を共有する。それが保護者の理解を深め、家庭学習の充実にもつながる。

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