花火大会事故 安全対策の再点検を

朝日新聞 2013年08月28日

花火会場事故 火災予防策は法制化で

お盆の夜、京都府福知山市の花火大会会場で起きた爆発事故は、3人が死亡し、50人以上が重軽傷を負う惨事になった。

約80年前に始まった一大イベントで、10万人超が集まる。やけどを負った人たちだけでなく、目撃者も心のダメージに苦しんでいる。

屋台の飲食店を出していた男性が、ガソリン携行缶の内圧を下げる作業をしないまま発電機に給油しようとし、噴き出したガソリンに引火した疑いが強まっている。

ガソリンは零下でも気化するほど燃えやすい。高温の夏場はいっそう危険だ。認識が甘すぎたというしかない。改めて注意を呼びかけたい。

携行缶や発電機は、観客が座るスペースに置かれていた。地元の商工会議所を中心とする大会主催者は、露店の配置を露天商の組合に一任していた。発電機や消火設備の有無も把握していなかった。

露店はイベントにつきものだが、各地を巡業する露天商が多いこともあって、店の配置や防火対策は組合任せになっていることが少なくない。

ただ、観客が多く混み合うほど、不注意な火気取り扱いが大事故につながる危険性は増す。電源はできるだけ主催者側が用意し、ガソリンや発電機の持ち込みは規制するなど、今すぐ手をつけられることもある。主催者は露店も含め、会場全体の防火対策に責任をもって取り組むべきだ。

行政によるチェックも強化していくべきだろう。

現在の法令では、露天商らが少量のガソリンを扱う場合、届け出る必要はない。消防活動に支障が出る恐れがあるとして露店に届け出を求める自治体もあるが、福知山市の条例にはそうした規定はなかった。

京都府は先週、露天商らに事前講習を義務づけるなど、法的な火災予防策を充実するよう総務相に要望した。

多くの人が集まり、火気も取り扱うイベントは、消防への事前申請を義務づけ、火気を扱う店の配置や初期消火体制、避難誘導計画などを審査させてはどうか。開催直前に消防職員が会場を見回り、露天商らを直接指導するのも一案だろう。

今回の事故後、すでに多くの消防がイベント会場での指導を強化している。法制化してそれをしっかり定着させることだ。

ガソリン携行缶の事故は一般家庭でも絶えない。使用者が手順を誤っても、噴出を防ぐ工夫ができないものか。国は業界に改良を働きかけていくべきだ。

毎日新聞 2013年08月26日

花火大会事故 安全対策の再点検を

花火の見物客でにぎわう屋台の列。夏の夜の風物詩と言える光景に、惨事を引き起こす危険が潜んでいた。京都府福知山市の花火大会会場で起きた爆発事故は、小学生を含む見物客約60人が死傷した。

お盆の15日夜、河川敷を会場に6000発の花火が打ち上げられる直前だった。ベビーカステラの屋台の店主が発電機に給油しようとガソリンの携行缶を開栓した際、ガソリンが噴き出し、近くのコンロの火が引火して爆発したとみられる。携行缶の内圧を下げる圧力調整弁の操作を怠った疑いが強まっている。

火気取り扱いの基本動作をしていれば事故は防げたはずだ。京都府警が業務上過失致死傷の疑いで調べており、やけどで入院中の店主から今後事情聴取する。原因を突き止め、再発防止につなげてほしい。

昨年のこの大会には、11万人が詰めかけた。地元の商工会議所などで組織した実行委員会は150人態勢で、見物客の転倒防止や通路確保にあたった。その一方で、355店の屋台業者に対しては、申請時に火気の取り扱いに注意するよう口頭で求めた程度だった。

雑踏警備の準備に追われ、業者への防火指導まで手が回らないというのが実行委の言い分だ。だが、主催者はイベント全体の安全に目を配るべき立場にある。火気の管理を業者任せですませてはならない。

ガソリンは消防法上の危険物だが、取扱量が40リットル未満と少量であれば届け出義務はない。法令で定めた金属容器に入れれば車でも運搬できる。電気が使えなければ、照明などの自家発電の燃料となる。

生活に密着したものとはいえ、極めて引火しやすく、取り扱いを誤れば甚大な被害を及ぼす。消防庁は、集客イベントの主催者や屋台業者に対する事前指導の徹底を全国の消防本部に通知した。保管や使用に細心の注意が必要だと肝に銘じたい。

事故後、全国各地のイベントで、主催者が業者を対象に火気取り扱いの講習会を開いたり、消火器の設置を指導したりしている。安全意識を高める対策を進めるべきだろう。

花火大会では2001年、兵庫県明石市の歩道橋で11人が圧死する事故があり、雑踏警備が強化された。今回の事故を受け、警備・救護の実施計画に屋台の防火安全手順を盛り込むなどして、きめ細かな安全管理態勢を整えることも必要だ。

静岡県伊豆市の花火大会では花火が破裂し、火の粉を浴びた見物客がやけどした。行楽の陰にどんな危険が隠れているかわからないと私たちも改めて自覚したい。イベントの主催者と業者は安全を再点検し、万全の態勢で臨んでもらいたい。

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