米軍ヘリ墜落 不安が増すばかりだ

朝日新聞 2013年08月07日

米軍ヘリ墜落 大惨事への警鐘とせよ

沖縄県の米軍基地キャンプ・ハンセン内の山中に米空軍の救難ヘリコプターが墜落し、現場から乗員とみられる遺体が見つかった。

県民への被害は確認されていないが、近くには民家も高速道路もある。ひとつ間違えば大惨事になるところだった。

全面積の2割近くを米軍施設が占め、軍用機が飛び交う沖縄本島だ。住民が危険と背中合わせでいることが、改めて浮き彫りになった。

仲井真弘多(ひろかず)沖縄県知事は上京して、小野寺防衛相らに事故の原因究明と再発防止の徹底を要求した。

安倍首相はじめ日本政府から同様の要請を受けた米側も、事故を起こしたヘリと同型機の飛行を取りやめ、新型輸送機オスプレイの普天間飛行場への追加配備を遅らせた。

これを一時しのぎに終わらせてはならない。

沖縄県民の不安や憤りは、ふくらむ一方だ。

昨秋のオスプレイ配備には、県内の41市町村すべてが反対した。そうした声は聞き入れられなかったうえに、夜間や人口密集地上空などでの飛行制限に関する日米合意も、有名無実であることがはっきりした。

昨年末までに318件の合意違反があったという県からの指摘に対し、防衛省は先月、「違反は確認できない」と一蹴した。いったい県民と米軍のどちらを向いているのか。

一方、首相や防衛相がことあるごとに繰り返す沖縄の「負担軽減」は、遅々として進んでいない。

県民にしてみれば、オスプレイの追加配備で、騒音被害や危険ばかりが積み重ねられているというのが実感だろう。

そんなさなかでの墜落事故である。日米両政府は、小手先にとどまらぬ真摯(しんし)な対応をしなければならない。

まずは今回の事故の原因究明だ。操縦ミスなのか、機体の不具合なのか、あるいは訓練のやり方に無理はなかったのか。それを踏まえた納得のいく再発防止策が必要だ。

オスプレイについても、「可能な限り」といった留保条件だらけの日米合意を見直す必要がある。いくら県や地元自治体が訴えても、聞く耳を持たぬという態度では、かえって政府への不信を強めるだけだ。

万一、住民に被害が出るようなことになれば、日米安保体制にとっても致命傷になる。

そんな悲劇を決して招いてはならない。今回の事故を、その警鐘と受け止めたい。

毎日新聞 2013年08月07日

米軍ヘリ墜落 不安が増すばかりだ

沖縄県宜野座村の米軍キャンプ・ハンセン内の山中に、米空軍の救難ヘリコプターが墜落し、炎上した。米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが、普天間飛行場に順次、追加配備されているさなかの事故だ。日本政府が米軍に対し、情報提供、原因究明、再発防止に加え、同型機の飛行訓練の停止と、オスプレイの追加配備の延期を申し入れ、米側が受け入れる姿勢を示したのは当然だ。

これまでも米軍機の事故が起きるたび、原因究明がなされ、再発防止策がとられてきた。しかし、残念ながら事故は繰り返されている。沖縄県民が事故の危険性と常に隣り合わせで生活している現実を、今回のことは改めてまざまざと見せつけた。

しかも日米地位協定3条で、米国は基地内の管理権を認められ、事故が起きても日本側は米軍の許可なく基地内に立ち入ることはできない。

事故への不安と、基地内で事故が起きれば手出しができないもどかしさ。それらはオスプレイについても言えることだ。

オスプレイは昨秋の普天間への配備を控え、モロッコと米フロリダ州で相次いで墜落事故を起こした。慌てた日米両政府は「米軍施設・区域内への進入・出発経路はできる限り人口密集地域の上空を避ける」などの飛行ルールに合意した。日本政府は、この合意が順守されるという前提でオスプレイの安全を宣言した。

しかし実際には配備後、ルール違反とみられる飛行事例が多数、報告されている。沖縄県は、昨年10~11月の2カ月間で318件の日米合意違反を、目視調査により確認したと指摘した。これに対し、防衛省は「違反の確証は得られなかった」とする検証結果を先月末にまとめた。

飛行ルール順守を前提に配備を受け入れたのに、ルールが守られていない疑いが指摘され、日本政府はそれを十分に検証できない。

今回の事故は現場が山中だったため、県民への直接の被害はなかったが、住宅密集地の普天間飛行場の周辺でオスプレイが事故を起こしたら、と想像しただけで恐ろしい。

加えて米太平洋空軍のカーライル司令官は、空軍仕様のオスプレイを沖縄県の嘉手納基地や、東京都の横田基地に配備することを検討していると明らかにした。既成事実を積み上げるようなやり方を受け入れるわけにはいかない。

まずは安全の確保だ。米軍に飛行ルールを順守してもらうよう、日本政府は基地周辺の監視カメラや人員を増やすなど監視態勢の強化を検討すべきだ。そして違反があれば、米側に改善を迫る。それでも守られなければ、オスプレイの配備計画は見直さざるを得なくなるだろう。

読売新聞 2013年08月08日

米軍ヘリ墜落 再発防止と通報ルール改善を

日米同盟の根幹である安定した米軍の駐留を実現するため、事故原因を解明し、実効性ある再発防止策の徹底を図らなければならない。

沖縄県宜野座村の米海兵隊キャンプ・ハンセンの訓練場内で、米空軍嘉手納基地所属の救難ヘリコプターHH60が墜落し、乗員とみられる遺体が見つかった。

痛ましく、残念な事故である。現場は山中とはいえ、約2キロ先には民家も点在している。

日本政府の要請を受け、米軍は当面、HH60の飛行を中止した。事故原因が明確になっていない以上、適切な措置だ。

米海兵隊普天間飛行場への新型輸送機MV22オスプレイの追加配備も延期された。本来、今回の事故とは無関係だが、住民感情を考えれば、やむを得まい。

ただ、優れた飛行性能や輸送力を持つオスプレイの配備は、在沖縄米軍の抑止力を維持するうえで欠かせない。いずれ着実に実施することが大切だ。

沖縄県の仲井真弘多知事は「原因究明を徹底してもらわないと、基地の安定的な使用や設置は非常に難しくなる」と語った。

当然の指摘である。今回の事故がオスプレイの追加配備や普天間飛行場の辺野古移設に悪影響を極力与えないよう、日米双方がそれぞれの立場で努力すべきだ。

今回の事故では、米軍の関係自治体などへの通報や報道発表が遅れ、混乱したことが、地元関係者の不安や不満を募らせた。

日米両政府は2005年に、米軍の航空機事故時のガイドラインを作成し、通報体制などを定めたが、その対象は、基本的に米軍基地外の事故に限られる。

正確な情報をいかに迅速に伝えて、公表するのか。在日米軍幹部は、事件・事故時の広報の重要性を再認識し、その優先度を高める意識改革を進めてもらいたい。

日米両政府は近く日米合同委員会を開く方向で調整している。再発防止策や、米軍基地内の事故を含めた通報ルールの改善について率直に協議することが重要だ。

中国軍の装備増強や南西諸島周辺における示威活動の活発化、北朝鮮の核・ミサイルの脅威などを踏まえれば、在沖縄米軍の重要性は一段と増している。

米軍が基地を安定的に使用し、効果的な活動を行うには、地元関係者の理解を広げることが不可欠だ。米軍と周辺住民がともに「良き隣人」として信頼関係を築けるよう、日米両政府は、幅広く知恵を絞る必要がある。

産経新聞 2013年08月07日

米軍ヘリ墜落 ひるまず抑止力維持せよ

米空軍所属のHH60救難ヘリコプターが訓練中、沖縄県宜野座村の米軍基地キャンプ・ハンセン内で墜落した。

今回のような事故を二度と起こしてならないのはもちろんだが、強調したいのは、このことで在沖米軍の抑止機能が損なわれてはならないということだ。また、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の辺野古(同県名護市)移設についても悪影響が及ばぬよう、日米が一致して対応にあたる必要がある。

今回の事故で、一般への被害はなかったが、遺体で見つかった1人は乗員とみられている。殉職に哀悼の意を表したい。

現場は、最も近い集落から約2キロだった。沖縄は米軍基地が集中し、米軍用機が頻繁に飛行している。過去、大きな事故が発生したこともある。地域住民が不安を募らせるのはもっともだ。

政府は、米側に「遺憾の意」を伝え、原因の究明と再発防止策の徹底を要請したが当然だ。

岸田文雄外相の求めに対し、ルース駐日米大使は「真剣に受け止めたい」と応じた。米側は早急に必要な措置を講じてほしい。

米空軍は今回の事故を受けて、嘉手納基地に配備されている墜落機と同型のヘリの飛行を当面の間、停止した。

米海兵隊も、岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げしている新型輸送機のMV22オスプレイ10機について、普天間飛行場への追加配備を延期する決定を下した。

それぞれ妥当な措置だが、救難ヘリは、南西諸島周辺や東シナ海において、米軍が広範囲な作戦活動を展開する上で欠かせない存在だ。厳しい訓練もそのためだ。同型機はまた、東日本大震災の「トモダチ作戦」に派遣され、捜索・救難に活躍した。

中国の公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での領海侵入は常態化している。中国海軍の挑発的行動も目立つ。

こうした厳しい環境のもとで海上保安庁や自衛隊は日々、国の守りについているが、忘れてならないのはその背後で、力となっている在日米軍の存在だ。沖縄の米空軍や米海兵隊の機能は、十分に保持されねばならない。

再発防止に加え、在日米軍には平和を保つための抑止力維持を重ねて求めたい。政府もまた、辺野古移設に向けて、粘り強く取り組む必要がある。

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