都議選自公完勝 アベノミクスへの期待票だ

毎日新聞 2013年06月24日

都議選自民圧勝 民主党の危機的な凋落

空前の圧勝である。参院選の先行指標として注目された東京都議選が投開票され自民、公明両党の候補が全員当選した。都議会第1党の座を自民党は民主党から奪還、自公両党で都議会過半数を確保した。

地方選挙とはいえ首都、東京での政権与党の勝利は政治の安定や経済政策などへの期待が持続していることを反映した。野党では民主党が惨敗を喫し、日本維新の会も苦戦した。とりわけ民主党は戦略の根本的な練り直しを迫られよう。

国政の傾向を反映することで知られる都議選だが、ここまで極端な結果は異例である。自民党が獲得した59議席は小泉内閣発足直後でブームが起きた01年の53議席を上まわる。「準国政選挙」と位置づけ、高い内閣支持率を背景に政権半年の評価を問う姿勢を前面に出した安倍晋三首相の戦略が奏功した。

投票率が前回を大きく下回る中での自公勝利は他党のふがいなさの裏返しでもある。戦後最低の投票率だった昨年12月の衆院選と同様、無党派層やかつての民主党支持層の票が行き場を失い自公両党を押し上げる構図が繰り返されたと言える。

自民党にとって参院選へのはずみとなることは確実だ。経済政策への期待を失望に変えぬためにも、いわゆるアベノミクス路線と財政健全化をどう整合させるかなど、より踏み込んだ説明が求められる。

獲得議席で公明党、共産党に及ばず都議会第1党から第4党に転落した民主党の凋落傾向は深刻だ。衆院選惨敗をそのまま引きずり有権者からの不信が続き、参院選を前にしての危機的状況を浮き彫りにした。

選挙戦で民主党は安倍政権の経済政策への批判を強めたが対立点を的確に説明できず、都政の争点も十分に提示できなかった。選挙結果は海江田万里代表が著しく発信力を欠き、今国会で党が存在感を発揮できなかったことの証明でもある。

候補を大量擁立した日本維新の会にも風は吹かなかった。橋下徹共同代表のいわゆる従軍慰安婦問題をめぐる発言が波紋を広げ、石原慎太郎共同代表が批判するなどいったん反目が表面化した。さきの衆院選で改革姿勢に期待した有権者も混乱や内輪もめにうんざりしたはずだ。政策も分権改革などをアピールできず、政権与党の補完勢力的な印象を与えている可能性もある。

今回の選挙では共産党が議席を大きく伸ばし、都議選初陣のみんなの党も堅調だった。投票率などの要因があるとはいえ、野党でも政策の輪郭が明確な政党が健闘したといえる。安倍内閣に向かう対立軸をきちんと示せるかどうか、参院選で野党側が負う責任は重大である。

読売新聞 2013年06月24日

都議選自公完勝 アベノミクスへの期待票だ

安倍政権にとっては大きな追い風だ。

有権者の政権に対する支持が本物かどうかは、来月の参院選で試されることになろう。

東京都議選で自民党は候補者全員が当選し、都議会第1党を奪還した。公明党も手堅く全勝し、第2党の座を占めた。猪瀬直樹知事の与党である自公両党の議席が過半数を大幅に超え、都政が安定するのは間違いない。

第2次安倍内閣の発足後、初の大型選挙となった都議選では、都政に関する大きな争点が不在だったこともあって、もっぱら安倍政権の経済政策「アベノミクス」に対する評価が焦点となった。

自公両党の完勝によって、安倍政権の政策と政権運営は、前向きの評価を得たと言える。

ただ、静岡県知事選など最近の地方選では、自民党系の候補が現職に敗れるケースが目立つ。安倍首相は選挙後、「今求められているのは、一層謙虚に身を引き締めていくことだ」と語った。

前回都議選で第1党に進出した民主党は、地滑り的な大敗を喫し、第4党に転落した。国政で失政を重ねたことに対する有権者の不信感が、いまだに根強いことの証左である。退潮傾向に歯止めはかからなかったと言えよう。

民主党は、株価や為替相場が乱高下していることなどから、アベノミクスのマイナス面を訴えた。だが、批判一辺倒で説得力に欠けたのではないか。

参院選では、具体的な対案を示し、自民党との政策論争を深めてもらいたい。

日本維新の会は大量の候補を擁立したにもかかわらず、全く振るわなかった。橋下共同代表のいわゆる従軍慰安婦問題をめぐる発言が響いたのだろう。

石原共同代表が選挙期間中に橋下氏に苦言を呈し、橋下氏も都議選の結果次第では辞任もあり得ると発言する事態にまで至った。

ただ、東京は石原氏の地元だ。今回の惨敗は石原氏の影響力低下に負う面も小さくない。

みんなの党は、橋下発言を機に維新との選挙協力を解消して選挙に臨んだが、躍進した。自民、民主両党に批判的な無党派層の一定の受け皿になったと見られる。

共産党も議席を倍増し、民主党を抜いて第3党に進出した。投票率が前回を大きく下回ったことなどが、組織力のある政党を押し上げたと言えよう。

今回の都議選で表れた各党の得票動向が、参院選にどう連動するか注目される。

産経新聞 2013年06月24日

都議選自民全勝 参院選へ「安倍色」強めよ

■憲法改正こそ国の立て直しだ

安倍晋三政権が経済再生に最優先で取り組み、成果を挙げつつあることが、自民党の全勝につながったといえる。

参院選の前哨戦となる東京都議選で、自民党は4年ぶりに第一党に復帰し、やはり全勝した公明党と合わせて過半数を得た。

首相が進めるアベノミクスは、個人消費の伸びや輸出増をもたらし、日本経済を上昇気流に乗せた。急激な株高・円安への調整もあるが、民主党政権当時に比べれば流れは大きく変わったと国民は受け止めている。

政党支持率で自民党だけが突出する「一強多弱」の状況が続いている要因もあっただろう。

◆問われる橋下氏の責任

日本維新の会は橋下徹共同代表の慰安婦をめぐる発言で急速に支持を減らした。民主党は海江田万里代表の下で受け皿としての存在感を示せていない。自民党優位も他党に助けられている要素が大きいといえる。

首相に問われるのは、この選挙結果を受けて参院選にどう臨むのかである。衆参ねじれを解消し、政権運営を安定化させなくてはならない。だが、そのために憲法改正に慎重な公明党への配慮を重視しつづけるのか。

憲法改正や外交・防衛の立て直しは、経済再生とともに首相が掲げてきた政権の根幹的な課題といえる。日本が危機を乗り越え、国際社会で生存していくために避けて通れない。首相は参院選の争点として、日本をこうするとの国家像を明確な選択肢として国民に示すべきだ。

中国が力ずくで尖閣諸島の奪取を図ろうとしていることなどに対し、首相が領土・主権を守り抜く姿勢を示したことも評価されたといえる。

日米同盟の強化に不可欠な集団的自衛権の行使容認については、有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で議論を重ねている。

だが、領域警備法の制定や憲法解釈の変更など具体的な形になかなか至っていない。公務員常駐など尖閣の統治強化策もまだ着手できていない。公明党との連立を重視するため、持論を抑制せざるを得ない面が多かったのだろう。

同時に、首相は、尖閣や歴史問題をめぐり悪化している中国や韓国との関係をどう打開するかという課題も抱えている。領土・主権で一歩も譲らない姿勢を貫くのは当然だが、中韓両国への対応には違いがあってよい。

残念なのは、憲法改正の発議要件を衆参各院の「3分の2以上」から「過半数」に緩和する96条の改正について、先行改正を公約に明記しなかったことだ。

「3分の2以上」では国民投票につながらず、民意を反映しにくい現状を変えなければならない。このことは自民党が憲法改正に取り組む基本的な考え方だろう。首相は改めてその必要性を明確にし、争点化すべきだ。

◆民主は全党的出直しを

憲法改正を実現する勢力の結集という観点からは、連立与党の公明党以外に、維新、みんなの党との連携を引き続き模索することが必要だ。

維新は橋下氏の慰安婦発言が尾を引き、都議選の投票直前に同じく共同代表の石原慎太郎氏とトップ2人の対立が表面化した。立候補予定者による辞退も相次ぎ、選挙前の議席も確保できなかった。橋下氏の責任も問われよう。

維新は政党としてまとまりを欠いている。信頼感を取り戻さなければ、どんな政策を打ち出しても説得力を持たない。参院選に向けて立て直しが急務だ。

同じ第三極でもみんなの党は1議席から7議席に大躍進した。共産党も議席を大きく伸ばした。

選挙前に第一党だった民主党は一気に第四党に転落した。海江田氏では参院選は戦えないとの声も出てこよう。

海江田氏はアベノミクス批判に重点を置くが、民主党政権がデフレ脱却を果たせなかった失政は隠せない。「0増5減」関連法案などの国会審議も引き延ばした。全党的な出直しが必要だ。

支持率で他党を圧倒する自民党にも、もろさがあることは、地方首長選での敗退事例が示している。準備不足、地域の事情などから十分な浸透を図れていなかった。自民党政権が目指すものを丁寧に有権者に説明し、理解を深める作業が求められている。

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