日本とアフリカの首脳級会合である「第5回アフリカ開発会議(TICAD5)」が1日、横浜市で開幕した。“成長大陸”アフリカと連携を強化する絶好の機会だ。
5年に1度の会合で、今回はアフリカ51か国が出席した。
安倍首相は、「互いに成長し合う仲間になった」と述べ、官民連携により、今後5年間で最大3・2兆円をアフリカに支援すると表明した。1・4兆円は政府開発援助(ODA)を充てる。
アフリカは天然資源が豊富で、5%台の高成長が続く。人口は10億人と多く、中間所得層が増加する有望市場である。
一方、電力不足は深刻だ。道路、港湾、鉄道などインフラ整備の遅れも課題と言える。
アフリカの日本への期待は大きい。商社、メーカーなど民間企業と足並みをそろえ、アフリカへの支援や投資を拡大しようとする政府の狙いは妥当だ。
日本に不可欠な天然ガスなどの資源開発を促進したり、インフラ輸出を加速したりできれば、経済政策「アベノミクス」の成長戦略にも弾みをつけよう。
警戒しなければならないのは、アフリカでの存在感を増大させている中国の動きである。
中国は、首脳らが相次いでアフリカを訪問し、アフリカ向けの融資や投資を急拡大している。
昨年、「3年間で200億ドル融資」という新たな方針を表明したが、実態は不透明だ。資源囲い込みや自国の利益を最優先する姿勢が目立つ点も看過できない。
安倍首相は、できるだけ早期にアフリカを訪問する意向も表明した。中国に対抗し、首相が先頭に立つことは適切だろう。
重要なのは、「日本の顔が見える支援」を通じてアフリカの自立を促し、互いに利益になる良好な関係を築くことである。
アフリカは貧困や、エイズなど疾病の問題を抱える。コメ作り支援で農業の生産性を高め、貧困を減らす方策を強化すべきだ。
3万人の就業支援による人材育成や、技術移転を後押しするなど、ODAを有効に活用する日本ならではの戦略が求められる。
1月にアルジェリアで人質事件が起きた。一部では依然、治安が悪化している。政府の主導で、日本企業が投資しやすい環境を整備することが急務だ。
国連安全保障理事会の改革を目指す日本にとって、アフリカとの関係強化で外交基盤を拡大する意義も忘れてはなるまい。
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