2013年度予算がきょう成立する。一般会計総額92・6兆円の予算案は、参院では野党の反対により否決される見通しだが、憲法の衆院優越規定が適用される。
2月に成立した12年度補正予算と合わせて「15か月予算」と位置付けられる。着実な執行により、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の目指すデフレ脱却と経済再生を確かなものにしたい。
予算成立後の政府の課題は、6月に「3本目の矢」としてまとめる成長戦略と、「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)」だ。
持続的な成長と、中長期的な財政健全化の両立をいかに図るか。参院選の争点にもなろう。
予算成立に伴い、終盤国会では重要法案の処理が焦点となる。
中でも、「1票の格差」を是正するため、衆院小選挙区定数の「0増5減」を実現する区割り法案の審議を急がねばならない。
自民、公明両党が、区割り法案の先行成立を立法府としての最低限の責務だとしているのはもっともである。衆院で再可決してでも成立させる構えだ。
これに対し、民主党など野党は、格差是正と定数の大幅削減の一体決着を主張する。法案の参院送付から3週間もたつのに、審議入りのメドすら立っていない。
選挙制度の抜本改革について各党の主張はバラバラで、今国会中に結論を出すのは困難だ。
まずできることに取り組まず、原則論ばかりを唱える民主党などの姿勢は無責任に過ぎる。
このほか、成年後見人が付いた人にも選挙権を認める公職選挙法改正案の成立も急務だ。夏の参院選に間に合わせる必要がある。
社会保障サービスの充実と徴税効率化を図るための共通番号制度関連法案(マイナンバー法案)や、ハーグ条約の関連法案なども確実に成立を図らねばならない。
一方、自公民3党の社会保障制度改革の協議は停滞している。
年金制度を巡っては、自公両党が現行制度の修正による改革を目指している。これに対し、民主党は相変わらず最低保障年金導入など抜本的見直しを主張し、参院選の争点にしようとしている。
政治の意思決定がなければ、社会保障制度改革推進法が求める8月21日までの「法制上の措置」を講じることは難しい。昨年の3党合意で設置した政府の社会保障制度改革国民会議の議論も宙に浮くことになる。
改革をどう進めていくのか、3党は改めて明確にすべきだ。
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