数字だけを見れば大型の景気対策だが、額面通りの景気刺激効果を期待していいのだろうか。
政府は8日、財政支出の「真水」で7兆円、融資枠などを含む事業規模で24兆円超の緊急経済対策を決めた。
厳しい雇用情勢とデフレで景気回復の足取りは弱い。来年前半にも腰折れする恐れもある。
ともかく政府と日銀が、景気対策と金融緩和で足並みをそろえたことは歓迎できよう。
だが、対策の決定が国民新党の増額要求で遅れた揚げ句、上積みはわずかだった。市場は政策決定の迷走に懸念を強めている。来年度予算を年内に着実に編成し、市場を安心させねばならない。
対策は雇用、環境、景気、地方支援など6本柱で景気の下支えを目指す。雇用では、休業手当を企業に支給して解雇を防ぐ雇用調整助成金の対象拡大や、新卒者の就職支援などを盛り込んだ。
環境は、エコカーと省エネ家電に、新たに住宅を加えた「エコ消費3本柱」への購入支援をテコに国内の需要不足の改善を狙う。
中小企業の資金繰りを助けるため、信用保証と緊急融資の枠も、計10兆円積み増す。
これらは、これまでの景気対策で実績があり、一定の効果は期待できよう。ただし、延長や拡充が中心で新味に乏しい。すでに効き目が薄れている可能性もあり、効果のほどを点検しながら取り組みを進めなければならない。
裏付けとなる財政支出は水増し気味だ。財源のうち3兆円弱は第1次補正予算の凍結分で、削った予算が戻るに過ぎない。
今回、公共事業として、都市の緑化、橋の補修、電線地中化などが盛り込まれた。だが、景気対策に即効性が期待できる公共事業を第1次補正から一度削り、今度は戻すのでは、その間の時間が無駄になっただけではないか。
「コンクリートから人へ」などという選挙スローガンにこだわったツケといえよう。
今回の予算再配分先がよほど効率の高い事業でないと、「内閣発足直後の凍結作業は何だったのか」という批判も出かねない。
総額3・5兆円に及ぶ地方支援にしても、3兆円は国の税収減に応じて目減りする地方交付税の穴埋めに充てられる。
地方にすれば、当初予算に上積みしてもらえるわけではない。
ヤマ場にさしかかった来年度予算の編成では、雇用と福祉に目配りし、景気刺激に役立つ施策に重点を置くべきである。
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