FRB議長再任 市場安定を狙った早期決着

毎日新聞 2009年08月27日

FRB議長再任 歴史に名誉残す4年に

連邦準備制度理事会(FRB)は米国の中央銀行だ。しかし、その判断や決定は米経済だけでなく日本を含む世界全体に重大な影響を及ぼす。最高責任者である議長は、世界経済という巨大な船の舵(かじ)を握る船長のようなものである。

オバマ大統領が、来年1月末で任期が切れるバーナンキ議長に2期目の船長役を委ねた。上院が承認すれば2014年1月末まで、さらに4年間、大役を務めることになる。

「崩壊寸前の金融システムに冷静さと英知をもって対処し、果敢な行動と柔軟な発想で経済の崩壊に歯止めをかけた」--。大統領は再任理由を挙げ、たたえた。金融危機後の迅速で大胆な議長の対応ぶりは金融界でも評価されており、妥当な決定との見方は多いようだ。

とはいえ、バーナンキ氏への批判がないわけではない。02年からFRB理事として金融政策にかかわった同氏は、住宅バブルとそれをあおった証券化商品の異常な膨張を放置したそもそもの責任の一端を負っている。06年2月に議長となってからも、危機への認識の甘さから初動が遅れた。サブプライム問題について07年3月に米議会で、「経済や金融全体に与える衝撃は抑えられる」との見通しを示している。

それでもオバマ大統領が再任を決めたのは、危機から完全に脱しきれていないこの時期にあえて交代させるリスクの方が大きいと見たからだろう。10%に迫る高失業率が続き、医療保険改革など難題を抱える大統領としては、バーナンキ議長と二人三脚で「大恐慌を回避できた」と“成功”を演出した方が、政権浮揚にも効果的と判断したのではないか。

問題はこれからの4年だ。ある意味ではこれまで以上に困難な舵取りを強いられよう。まずは景気回復を安定的で確実なものにする必要があるが、同時に、非常時用の対策の切り上げ時も見極めねばならない。緊急支援が必要以上に長引けば新たなバブルの芽が育ちかねないからだ。

そして最も大事なのは、金融危機の再発を防ぐための取り組みである。グリーンスパン前議長時代から信奉してきた「中央銀行は、危機が起きる前の資産バブル防止より、危機後の処理に徹すべきだ」との考えは見直す時に来ている。長期にわたる低金利政策でカネ余りが高じ、不動産や株式市場のバブルにつながっていった過程を徹底的に検証する必要がある。その上で、金融政策と金融機関監督という両面から、バブル防止を図る仕組みを築いてほしい。

新しい中央銀行のモデルが生まれるのか、次なる災いの始まりとなるのか。歴史の中で問われる4年になるだろう。

読売新聞 2009年08月27日

FRB議長再任 市場安定を狙った早期決着

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の再任が決まった。来年1月の任期切れの5か月も前に、オバマ米大統領が発表した。

市場に安心感を与える早期決着といえよう。

上院の承認後、正式な再任となる。2期目の任期は、2014年1月までの4年間だ。

大統領は、「大胆な行動で米国経済の急降下を食い止めた」と述べた。金融危機に迅速に対応した議長の手腕を評価し、引き続き、金融政策の(かじ)取りを任せることが得策と判断したようだ。

議長への市場の信認は厚く、再任を支持する声が多かった。大統領の決定は妥当だろう。

バーナンキ議長は、18年間も議長を務めたグリーンスパン氏の後任として、ブッシュ前大統領に指名され、06年2月に就任した。

当初は、米国の住宅バブルの影響を見逃し、金融危機を招いたと批判されたこともある。

しかし、昨年9月の「リーマン・ショック」以降、事実上のゼロ金利政策や量的緩和策など、異例の政策を次々と実施してきた。

大型の景気対策を打ち出した政府と協調し、日欧の金融当局との連携も効果的で、危機はようやく最悪期を脱しつつある。米国景気は底打ちをうかがい、株式市場も落ち着きを取り戻した。

金融危機の克服に道筋をつけたFRBの役割は大きかった。

だが、2期目に入るバーナンキ議長の課題は多い。今後も難しい舵取りを迫られるのは確実だ。

米国では、失業率が高止まりして雇用情勢が悪化し、個人消費は冷え込んだままだ。景気が年内に底入れしても、本格的な景気回復は遅れることが懸念される。金融機関が抱える不良資産問題も、完全には払拭(ふっしょく)されていない。

FRBは金融面からのテコ入れの手綱を緩めず、超金融緩和策を継続していく姿勢が大事だ。

FRBは、危機対応の政策を平時に戻す「出口戦略」を模索し始めた。しかし、ゼロ金利政策の解除などはかなり先だろう。慎重に戦略を練ることが求められる。

金融危機の再発防止策については、米国政府が、金融機関の監督権限をFRBに一元化する規制強化案をまとめた。

行き過ぎた米国流の金融資本主義にどう歯止めをかけるか。FRBは、米国だけでなく、世界経済の安定を視野に、日欧当局などとの政策協調を一段と強化することが必要だ。それが、大国・アメリカの中央銀行の責務だろう。

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