もはや猶予は許されない。
衆院小選挙区の「一票の格差」是正である。
先月あった一連の高裁判決で「違憲」判断が相次いだことを受けて、与野党協議がきょう開かれる。ところが、さっそく自民党と民主党のさや当てが始まっている。
国会を「違憲の府」としないためにも、与野党は合意を急がなければならない。
なすべきことは明らかだ。
先月末、政府の衆院選挙区画定審議会が、定数の「0増5減」に伴う区割り見直し案を勧告した。
まずは、これにもとづく公職選挙法改正案を、今国会で成立させることである。
自民、公明両党が、その先行処理を求めているのは当然だ。
これに対し、民主党は「0増5減だけでは不十分だ」として、小選挙区30、比例区50の定数削減による抜本改革を主張している。
民主党の言い分はこうだ。
11年3月の最高裁判決は、各都道府県に議席を1ずつ割りふる「1人別枠制」を違憲の源とした。0増5減は事実上、別枠制を残しており、問題の解消にはならない――。
たしかに、0増5減では抜本改革にはほど遠い。
だが、各党の利害が対立する定数削減をいま絡めれば、話し合いが暗礁に乗り上げるのは目に見えている。
与党時代、民主党は格差是正と定数削減の同時決着にこだわった。その結果、「決められない政治」に陥り、格差も放置されたままになった。
だからこそ、昨秋、0増5減の先行処理にいったんは同意したのではなかったか。
与野党が対立したまま、何も是正できない愚だけは繰り返してはならない。
自民党にも言いたい。
党幹部からは、昨年の法改正で1人別枠の条文は削除しており、この問題は決着済みだという声が聞かれる。
だが、0増5減はあくまで緊急避難的な措置であることを忘れては困る。
まずは0増5減で格差を2倍以内に収める。これは国会として最低限の責任だ。
その先の「抜本改革」については、与野党から様々な定数削減案が出されている。だが、党利党略絡みの百家争鳴で、一本化できるとは思えない。
であれば、ここは第三者にゆだねるしかない。首相の諮問機関である選挙制度審議会を立ち上げ、衆参のあり方も併せて根本から検討すればいい。
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