日本維新の会 「ゆ党」では分かりにくい

朝日新聞 2013年03月31日

日本維新の会 一体どこへ向かうのか

日本維新の会がきのう、結党以来初の党大会を大阪市内で開いた。

夏の参院選で、自民党などと合わせ憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を確保する。

石原慎太郎氏とともに共同代表を務める橋下徹大阪市長は、そんな目標を打ち出した。

改憲論議自体、否定すべきものではない。ただ、あまりにも前のめりな維新の姿勢には、危うさを感じざるを得ない。

見過ごせないのは、大会で採択された綱領に「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正する」という一文が盛られたことだ。

「国民の意志と時代の要請に適したものに改正する」という原案だったが、石原氏が持論をもとに書き換えたのだという。

これでは平和主義を含む憲法の全面否定であり、とうてい容認できない。

安倍政権との向き合い方も気がかりだ。

橋下氏は「自民党に既得権打破はできない」「参院選で自公の過半数絶対阻止」と対抗姿勢を示す一方、環太平洋経済連携協定(TPP)などで安倍首相の政権運営を高く評価した。

もちろん、野党は何でも政権に反対すればいいというものではない。それにしても、わかりにくい対応である。

首相に親近感を抱く維新幹部は少なくない。いずれ改憲を軸に自民党と手を組むのではないか、という見方も消えない。

もしそんな思惑があるとすれば、巨大与党を利するだけだ。

もともと大阪都構想など「地方発」の改革や、既得権益の打破が、この党の原点だった。昨年暮れの総選挙で躍進したのも、そうした期待からだろう。

きわめて右派色の濃い改憲論といい、政権への熱いエールといい、維新の「変身」に戸惑う支持者も多いのではないか。

党の置かれた状況は、決して楽観できるものではない。

朝日新聞の3月の世論調査では、今夏の参院選の比例区投票先として維新は12%。自民の47%には遠く及ばず、かつてほどの勢いは感じられない。

理由は明らかである。この党がどこへ向かおうとしているのか、有権者に見えにくくなっているからだ。

党大会で改憲を前面に押し出したのも、存在感が薄らぐことへの焦りの表れかもしれない。

だが、それが支持者が本当に期待していることなのか。維新の原点を踏まえ、もう一度、考えた方がいい。

毎日新聞 2013年03月28日

日本維新の会 「ゆ党」では分かりにくい

日本維新の会の党大会が30日、大阪市で開かれる。昨年9月の結党、同11月の旧太陽の党との合流以来、党大会が開かれるのは初めてで、党の新しい綱領や規約を採択する。

さきの衆院選で維新の会は54議席を得て民主党に肉薄した。今国会は野党第2党として安倍政権ともテーマ別に協調しているが、独自色を十分に発揮しているとはいいがたい。政策の優先順位と自民党との距離を整理していくべきだ。

石原慎太郎、橋下徹両共同代表が強烈なキャラクターを持つ同党だ。だが、最近はむしろ個人商店的色合いは弱まっている。

日銀総裁人事では黒田東彦氏をあてる政府方針に橋下氏がいったん異を唱えたが、国会議員団総務会の多数決で賛成で決着した。両首脳の「私党」ではないのだから、政策決定の手続きを設けることは当然だ。

政策ごとの与党との部分連合も実現している。補正予算に賛成し、ネット選挙解禁でも自公両党案と歩調を合わせている。通常国会での政策決定に一定の影響力を行使しているといえよう。

だが、通常国会で存在感を十分に発揮し、衆院選比例代表で民主党を上回る票を投じた有権者の「政治を変える」期待に応えているかは疑問だ。毎日新聞の世論調査によると衆院選直後は14%あった政党支持率は9%に減った。5%の民主党に比べればまだ「まし」だが、大きな意味では自民党の陰に埋没している。

現憲法の廃棄を説き、脱原発依存にも慎重だった石原氏ら旧太陽の党系と、大阪都構想からスタートし統治機構の急進的改革を目指す旧維新の会系にはやはり大きなギャップがある。政党が与えるイメージが混乱していることが、迫力をそいでいるのではないか。

改憲積極姿勢、成長重視の「安倍カラー」は維新の会の路線と近い。安倍晋三首相が熱心な憲法96条改正も維新の会は与党の公明党以上に積極的だ。ならば参院選後、将来の自民党との連立も視野に入れるのか。

一方で、安倍政権は分権改革で国の地方出先機関の見直しにすら動いていない。今後、自民の体質に見切りをつけるのであれば、野党の連携を優先し「1強」自民に立ち向かうのが筋だろう。旧維新の会系にとって分権断行は結党の原点のはずだ。

旧民主党が96年に結成された当時「与党か野党か」の立場が判然とせず、「ゆ党」とやゆされた。

是々非々という言葉で片づけず、政策の優先順位と自民党に向きあう戦略を提示すべきだ。それがカラーの違うふたつの勢力の併存状態をどう解決していくかの答えにもつながっていくはずである。

産経新聞 2013年03月31日

維新の会 改憲の重要な「核」になれ

日本維新の会が初めて党大会を開いた。「保守」を明記し、憲法改正などを盛り込んだ新たな党綱領を決定した。国家観を明確に示した内容である。自民党とともに改憲勢力の重要な核となることが期待される。

党大会で、共同代表の橋下徹大阪市長は、安倍晋三政権に対して「応援すべき点は応援する」としつつ、「参院選で自公過半数阻止を目指す」と訴えた。

体調を崩していた共同代表の石原慎太郎氏は、東京都内の国会議員団本部からネット中継で参加した。石原氏が現行憲法9条などを批判したのに対し、橋下氏は「諸国民の公正と信義」をうたった前文の問題点を指摘した。

憲法改正に向けた両代表の強い決意が改めてうかがわれた。

新綱領は「賢くて強い日本」を国家目標に据え、「わが国の歴史と文化に誇りを抱き、良き伝統を保守する」としている。外交・安保については、「『法の支配』などの価値を共有する諸国と連帯し、世界の平和に貢献する」と日米同盟重視を再確認した。

その上で、「占領憲法の大幅な改正」「自立する個人、地域、国家の実現」「既得権の排除と真の弱者支援」など8項目の基本政策を掲げた。

維新の会の前身、大阪維新の会は昨年8月末、道州制の実現や教育委員会制度の廃止などを求めた「維新八策」を示したが、地域政党の域を脱しきれていない面もあった。衆院選前の昨秋、石原氏率いる太陽の党と合併したことにより、名実ともに国政を担う公党としての形を整えつつある。

新綱領は、「強い日本」を目指す安倍政権との連携も視野に入れているとみられる。

自民党は昨年4月、「国防軍」を明記した憲法改正草案を出している。維新に合流した太陽の党の前身、たちあがれ日本も同時期、「自衛軍」を明記した自主憲法大綱案を発表した。維新の会も、これを踏まえた改正案を再度、練り直してほしい。

維新は夏の参院選に向け、憲法改正を志向するみんなの党と選挙区調整などを行っている。みんなの党も、自衛権の明確化を求めた「憲法改正の基本的考え方」を示している。自民、維新、みんなの3党はともに、憲法96条の改正要件の緩和を求めている。改憲論議をさらに盛り上げたい。

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