国連に拉致調査委 国家犯罪の実態をあばけ

読売新聞 2013年03月26日

国連人権調査委 北朝鮮に拉致解決迫るテコだ

国連人権理事会で、北朝鮮の人権侵害に関する調査委員会の設立をうたう決議が、全会一致で採択された。

これをテコに、北朝鮮の人権状況の改善を求める国際社会の連携を強化し、日本人拉致問題の早期解決につなげることが重要である。

決議案は日本と欧州連合(EU)が共同提出した。北朝鮮の「組織的で広範かつ重大な人権侵害」を非難し、強制収容所や拷問、「外国国籍者の拉致を含む強制失踪」などを調べるため、3人の専門家による調査委設立を明記した。

国連は毎年、北朝鮮の人権状況を調査する特別報告者を任命してきたが、調査委発足によって、より充実した調査が可能となる。

日本政府は、総力を挙げて協力し、拉致という北朝鮮の国家犯罪の全容解明と、被害者全員の帰国実現を図っていくべきだ。

北朝鮮の人権状況を非難する国連決議案の採決では、北朝鮮擁護派の反対票が年々減少する一方、賛成票は増え続け、昨年から全会一致での採択が通例となった。

核・ミサイル問題でも、国際社会の非難を無視する北朝鮮に、国連安全保障理事会は全会一致で制裁を強化した。中国も、制裁実施に積極的な姿勢を見せている。

北朝鮮の金正恩政権は、こうした国際的な圧力の高まりを重く受け止めなければならない。

北朝鮮は、これまでと同様、国連への協力を拒み、調査委関係者の入国を一切認めないだろう。

それでも調査委は、北朝鮮以外の国で、被害者や脱北者、家族、政府、諸機関から詳細な証言を集めることができる。それを基に組織的な人権侵害の実態や具体的な対策をまとめ、1年後に国連報告書として公表する予定だ。

北朝鮮指導部に「人道に対する罪」の責任を厳しく問うこともできよう。人権状況の改善を迫るために、国際社会は北朝鮮に圧力をかけ続ける必要がある。

今回の決議は、日本政府の拉致問題に関する積極的な取り組みの一つの成果と、評価できる。

安倍首相は施政方針演説で、拉致被害者の帰国まで「私の使命は終わらない」と述べた。被害者家族の高齢化を考えれば時間は貴重だ。ぜひ結果を出してほしい。

北朝鮮との政府間協議の再開も含めて、戦略的で積極的な外交の展開が求められる。

拉致、核、ミサイル問題の包括的な解決なくして、日朝国交正常化はあり得ない。政府はこの立場を堅持することが肝要だ。

産経新聞 2013年03月23日

国連に拉致調査委 国家犯罪の実態をあばけ

国連人権理事会は、拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害の実態を調べる調査委員会を設置する決議を全会一致で採択した。拉致が北の国家犯罪として世界に認定されたことを意味し、北への極めて有効な圧力となる。

決議は拉致のほか、北朝鮮で拷問などが組織的に行われていると強く非難し、北朝鮮に対して調査に協力するよう求めている。

菅義偉官房長官は「拉致問題の早期解決を含め北朝鮮の人権状況が改善されることを強く期待している」と述べ、古屋圭司拉致問題担当相も「問題解決に向けて大きな弾みになる」と話した。

安倍晋三政権は昨年暮れの衆院選での自民党公約に基づき、国連での拉致問題などに関する調査委設置を働きかけていた。日本の拉致被害者家族らもジュネーブの国連人権理事会に何度か足を運び、問題解決への協力を訴えた。

政府や家族会の粘り強い努力を評価したい。

横田めぐみさんら拉致被害者の救出を求める国際連携の輪は着実に広がっている。

今年に入り、2002年に脱北した朝鮮労働党の元工作員がドイツとシリアの拉致被害者に関する証言をしていたことが分かり、被害国が12カ国から14カ国に増える可能性が高まった。

すでに3人の被害者がいることが判明しているフランスで先月、拉致問題をテーマにしたドキュメンタリー番組が公共放送「フランス3」で放映された。

拉致問題解決への国際世論をさらに盛り上げたい。

国内でも、進展が見られた。

昨年暮れ、警察庁は北朝鮮に拉致された可能性を排除できない失踪者が868人(うち女性232人)に上る事実を開示した。

現在、政府認定の拉致被害者はめぐみさんら17人だが、これにとどまらないことは確実だ。捜査当局は民間の特定失踪者問題調査会とも可能な範囲で連携し、追跡調査を進めてほしい。

韓国の被害者家族会が平壌の外交筋から入手した情報によると、北朝鮮の金正日総書記が生前、後継者の金正恩氏(現第1書記)に「日本と絶対、拉致問題で協議するな」と命じたとされる。

北朝鮮は今も自国内での国連の調査を拒み続けている。国際社会はさらに結束を強め、国家犯罪の実態をあばく必要がある。

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