政権復帰と高支持率による高揚感に包まれていた。だが、真価が問われるのは夏の参院選だ。
自民党が都内で定期党大会を開いた。
安倍首相は参院選について「勝ち抜いて、誇りある国、日本を取り戻す」と決意を示した。
安倍政権が着実に実績を上げていることは、率直に評価したい。超円高が是正され、株価も上昇している。事業規模20兆円もの補正予算を成立させ、日銀の正副総裁の国会同意をとりつけた。
首相は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加も決断した。党大会では、「必ず日本の農業を、食を守っていく。私を信じてほしい」と理解を求めた。
党内では、党を二分する激しい議論が戦わされたが、最後は慎重派が“大人の対応”で矛を収めた。内紛続きで政策が迷走し、国民から見放された民主党との意思決定過程の違いを見せつけた。
自民党は政権党として、業界の利害ではなく、国益を最優先する姿勢を忘れないでもらいたい。
目下のところ、安倍政権は順風満帆だ。読売新聞の世論調査によると内閣支持率は72%で発足時から3回続けて上昇した。自民党の支持率も45%で、2位の民主党5%に大きく水をあけている。
だが、首相の言う通り「決して慢心してはならない」だろう。
先の衆院選での圧勝は、民主党政権への懲罰感情が有権者に働いたからだった。
自民党が国民の信頼を取り戻すには経済政策「アベノミクス」で着実に成果を出し、野党との合意形成に努力して行くしかない。
仮に、自民、公明両党が参院選で勝利し、参院の過半数の議席を獲得すれば国会のねじれは解消する。次の国政選挙まで最大3年あるため、政権運営も安定する。
その一方で、留意しなければならないのは公明党との関係だ。
たとえば、憲法改正について自民党と、日本維新の会、みんなの党は積極的だが、公明党は慎重姿勢を崩していない。
党大会に来賓として出席した公明党の山口代表は「ことを焦ってはいけない。謙虚に、丁寧に幅広い合意形成に努めていく姿勢こそが国民の信頼を得る正攻法だ」と語り、自民党にクギを刺した。
公明党内に、右寄りの「安倍カラー」に対する抵抗感が根強いことをうかがわせる。
自民党は、選挙で依存を深める公明党・創価学会とどう向き合っていくのか。厳しく問われる局面も出てこよう。
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