元秘書2審も有罪 小沢氏に議員辞職求める

毎日新聞 2013年03月14日

元秘書3人判決 高裁も「有罪」は重い

3人の元秘書に対し再び有罪の判断が下された。民主党元代表で「生活の党」の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる裁判だ。

04年当時小沢代表の秘書だった衆院議員、石川知裕被告らが、土地購入目的で小沢代表から借り入れた4億円を政治資金収支報告書に記載しなかった行為について、東京高裁は「故意があった」と、明確に認定したのだ。

1審判決は、石川被告が同年、中堅ゼネコンから5000万円の裏献金を受領したと認定した。さらに石川被告が4億円を収支報告書に記載しなかった動機について「4億円借り入れの時期に土地購入したことが収支報告書で分かれば、その原資がマスコミから追及され、ゼネコン側からの裏献金も明るみに出る可能性があると恐れた」と結論づけた。

こうした石川被告の隠蔽(いんぺい)工作を断罪した1審の認定について、高裁判決は「その判断に誤りはない」と、ほぼ是認したのである。

小沢代表自身も共謀を問われ検察審査会の議決によって強制起訴されたが、昨年11月、1審に続き東京高裁で無罪が言い渡され確定した。

ただし、小沢代表の裁判でも石川被告ら元秘書の「虚偽記載」は認定された。報告書作成が秘書任せだったため、小沢代表自身の違法性認識の立証が不十分だとの判断だった。

元公設第1秘書、大久保隆規被告は、4億円の虚偽記載事件だけでなく、「西松建設」からの違法献金事件でも改めて有罪となった。いずれも上告審が残っているとはいえ、政治資金をめぐり小沢代表の元秘書らに極めて厳しい司法判断が続いたことになる。

秘書を監督する立場として、政治家である小沢代表の責任は重い。これまでも十分な説明を果たしてきたとは言えないが、自身の無罪が確定したからといって口をつぐむことは許されない。身の処し方を含め、けじめを考えるのが筋だろう。

虚偽記載をめぐっては、「形式犯」との批判もあった。だが、高裁判決は、政治資金収支報告書について「国民による政治活動の批判と監視のよりどころとなるもので、その重要性には多言を要しない」と指摘した。さらに今回の事件は額が大きく「相当に犯情が悪い」と批判した。当然の見解ではないだろうか。

また、石川被告が虚偽記載を主導したと認定し「責任は重い」と特に指摘した点も見逃せない。石川被告は昨年12月の衆院選で新党大地から立候補し3回目の当選を果たした。だが、高裁判決でも公民権停止につながる執行猶予付きの禁錮刑が維持された。道義的責任をどう果たすのか、政治姿勢が強く問われる。

産経新聞 2013年03月14日

元秘書2審も有罪 小沢氏に議員辞職求める

小沢一郎生活の党代表の政治的、道義的責任は極めて重い。議員を辞職し、その責任を果たすよう求める。

小沢氏の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件の控訴審で、東京高裁は、衆院議員、石川知裕被告ら元秘書3人をいずれも執行猶予付き有罪とした1審東京地裁判決を支持した。

判決は「虚偽記入の故意が認められ、1審判決に事実誤認はない」とし、石川被告がゼネコンから裏献金を受け取ったことも認定した。無罪を主張する3被告の訴えは、ことごとく退けられた。

石川被告は「有罪判決は極めて不当で強い憤りを感じる」として即日上告したが、最高裁で実質的な審理は行われない。石川被告は現職の衆院議員だが、有罪が確定すれば、原則として失職する。

控訴審の被告人質問で石川被告は、虚偽記載について「政治家の仕事ができなくなるほどのミスなのか判断してほしい」と訴えた。認識が甘い。「それほどの」罪なのである。

控訴審判決は、石川被告らの虚偽記載を「政治資金規正法の趣旨にもとる悪質な犯行」とし、長期、高額に及ぶことから「収支報告書の不記載ないし虚偽記入の事案の中でも相当に犯情が悪い」と断罪した。

小沢氏も自身の公判で、収支報告書は「見たこともない」と語り、規正法の趣旨についても「正確に理解しているわけではありません」と述べてきた。

収支報告書を「国民による政治活動の批判と監視の拠(よ)り所」とする規正法の趣旨を、政治家も秘書も、徹底的に軽んじていたということだ。

小沢氏はかつて、自著「日本改造計画」に、「政治資金の出入りを一円に至るまで全面的に公開し、流れを完全に透明にすることである。それによって政治家が不正を働く余地も、国民が不信を抱く余地もまったくなくしてしまう」と記していた。

同著ではさらに、「(政治家の)言い逃れを封じるために連座制を強化する」とも提言していた。今こそまず、その範を垂れるべきときだろう。

議員辞職で政治家としての姿勢を示し、自ら率いる生活の党で、政治家本人の罪を問うことが難しいなどの不備が目立つ規正法強化の先頭に立つことを促したい。

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