1票の格差違憲 立法府は司法の警告に応えよ

毎日新聞 2013年03月07日

1票の格差「違憲」 国会への厳しい警鐘だ

最高裁から「違憲状態」との指摘を受けながら小選挙区の1票の格差を是正せずに行われた昨年12月の衆院選について、東京高裁が「違憲」と断じた。「立法の不作為」に対する裁判所からの強い警告だ。

1票の格差是正や定数削減など選挙制度改革は、党利党略が優先し進まなかったのが現実だ。自民党を中心に改革案の検討がやっと始まったが、もはや猶予は許されない。国会は猛省し、今国会で必要な法改正など成果を示さなければならない。

最高裁は11年3月、1票の格差が最大2.30倍となった09年8月の衆院選小選挙区の選挙について「違憲状態だった」と判断した。

その際打ち出したのが、選挙区間の人口の最大格差が2倍未満になる区割りが合理的であり、47都道府県に定数1ずつを割り振る「1人別枠方式」は速やかに廃止すべきだとの考え方だった。

だが、国会の動きは鈍かった。東日本大震災への対応が優先したとはいえ、昨年後半に至っても与野党の意見集約ができなかった。

野田佳彦前首相が衆院解散を表明したことを受け、昨年11月、格差「2倍未満」が一応実現する小選挙区定数の「0増5減」と、「1人別枠方式」廃止を規定した法律が成立した。だが、新たな区割り確定には数カ月を要するため12月の選挙には間に合わなかった。結果的に最高裁判決後1年9カ月もの間、是正が放置されたまま選挙に突入し、1票の格差は2.43倍にまで拡大した。

投票価値の平等は、「法の下の平等」を定めた憲法の要請だ。民意が正しく反映される選挙の仕組みを整えるのは当然で、国会の対応は司法の軽視だけでなく、有権者への裏切りと批判されてもやむを得ない。

昨年の衆院選をめぐる1票の格差訴訟では「100日裁判」が実現し、今月中に他に15件の高裁判決が出る。これまで高裁・最高裁は、違憲判決を出しても、「公の利益」を考慮する「事情判決の法理」に基づき、無効判決を避けてきた。

6日の東京高裁判決も、昨年11月の「0増5減」法成立の動きなどを前向きにとらえ、無効判断を避けた。だが、国会の自浄能力はもはや限界との判断が働けば、無効判決が出てもおかしくない。

「0増5減」は、都道府県の人口比を考慮しておらず、つじつま合わせとの批判はもっともだ。だが、「0増5減」を前提に第三者機関の審議会が区割り作業中だ。ならばその区割りに基づく法改正を今国会に間に合わせるのが最低限の国会の責任だ。その先にある抜本的な定数削減や制度変更は、第三者に任すことも検討すべきだと改めて指摘したい。

読売新聞 2013年03月07日

1票の格差違憲 立法府は司法の警告に応えよ

「1票の格差」を一向に是正しない国会に対する厳しい司法判断が、再び示された。

格差が最大で2・43倍だった昨年12月の衆院選について、東京高裁は、法の下の平等を定めた憲法に違反していたと断じる「違憲判決」を言い渡した。

格差是正の時間的余裕はあったのに、有効な措置を講じず、選挙を実施した国会の不作為を「看過できない」と批判した。

国会は判決を重く受け止め、格差是正を急がねばならない。

今回の判決は、最高裁大法廷が2011年3月に出した判決を踏まえたものだ。

最高裁は格差が最大2・30倍だった09年衆院選について、著しい不平等は認めたが、「違憲状態」との判断にとどめていた。「是正する合理的期間は過ぎていない」という理由からだった。

与野党は先の臨時国会で、緊急避難的に小選挙区を「0増5減」とする法改正を行った。だが、区割り作業は間に合わず、衆院選は違憲状態のままで行われた。

最高裁が警鐘を鳴らしたにもかかわらず、格差是正は進まない。東京高裁は、選挙無効こそ認めなかったものの、一歩踏み込んだ判断を示したと言える。

同様の訴訟は、全国14の高裁・支部で審理され、いずれも今月中に判決が言い渡される。

公職選挙法には、裁判所は提訴から100日以内に判決を出すよう努めるとの規定がある。これまでは半年以上かかるケースがあったが、今回、規定通りに判断を示す裁判所の姿勢は、国会に速やかな格差是正を迫るものだ。

訴訟を起こした弁護士グループは、憲法前文にある「国民主権」の見地などから、主権者である国民の1票は厳格に平等でなければならない、と主張した。

東京高裁は、この主張については退けたが、今後の判決でも注目点の一つとなるだろう。

判決に対して与野党は「厳粛に受け止める」「立法府への糾弾の意味も含まれている」としている。当然の反応である。ただちに具体的な行動をとるべきだ。

自民、公明、民主3党は、今国会中に定数是正を含む衆院選挙制度の抜本的な見直しを行うことで合意したものの、作業は遅々として進展していない。選挙制度は、各党の消長にかかわる問題だけに、合意形成は難航しよう。

だが、時間は限られている。立法府の権威を自らおとしめる、これ以上の怠慢は許されない。

産経新聞 2013年03月07日

衆院選違憲判決 司法の最後通告に応えよ

最大2・43倍の「一票の格差」が生じた昨年12月の衆院選を東京高裁が「違憲」と判断した。

解散直前に格差を2倍未満とする「0増5減」の緊急是正策がとられたことから、選挙無効の請求は退けられたが、違憲判決は格差是正を放置した立法府への最後通告と受け止めるべきだ。

与野党はまだ完成していない緊急是正策に基づく区割りの法制化を急ぎ、一刻も早く違憲の状態を解消しなければならない。

さきの衆院選は、最高裁が平成23年3月に「違憲状態」と判断した21年の選挙と同じ区割りで実施された。

最高裁は、全都道府県にまず定数1を割り振り、残りを人口比例で配分する「1人別枠方式」の区割り基準が格差拡大の原因になっているとして廃止を求めたが、国会は是正措置をとらなかった。

今回の判決は、同じ区割りを昨年の衆院選で用いたのは、国会が最高裁の「強い警鐘」を無視したものだとして「違憲状態」から「違憲」へと踏み込んだ。何もしない立法府に対し、司法が具体的な行動要求を突きつけた。

区割り基準の見直しが行われないため、法律が定める衆院選挙区画定審議会の区割り作業なども進まず、違憲状態と違法状態に同時に陥った。当時の与党だった民主党などの責任が大きい。

2つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部で計16件の訴訟を起こしており、3月中に判決が出そろう予定だ。判決の度に立法府の怠慢が指摘されかねない事態であり、選挙無効判決が出る可能性も否定できない。

自民、民主、公明は昨年11月の3党合意で、定数削減と選挙制度改革について「通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行う」と約束したが、いまだに緊急是正にとどまっている。

最近始まった実務者協議では、削減幅や比例代表での中小政党優遇策などで意見の隔たりが大きく、時間だけを費やしている。

一票の格差が最大で5倍だった22年の参院選も、最高裁から違憲状態と判断された。衆参両院とも抜本的な改革を迫られているのに、いずれも具体的な議論は進んでいない。

政治家が決断できないのであれば、休眠中の政府の選挙制度審議会を開き、抜本改革を諮問することが必要である。

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