竹島の日 政務官派遣は再考を

朝日新聞 2013年02月20日

竹島の日 政務官派遣は再考を

安倍政権が、22日の「竹島の日」記念式典(島根県主催)に、島尻安伊子内閣府政務官の派遣を検討している。

ここは、再考を求める。

安倍首相は、日韓関係の大局にたって、派遣を見送る決断をすべきだ。

式典の3日後には、韓国の朴槿恵(パククネ)次期大統領の就任式が予定されている。竹島問題などで冷え込んだ日韓関係の修復を考えれば、初めからつまずくのは得策ではない。

首相に冷静な判断を望む。

竹島の日は、1905年2月22日に島根県が竹島の編入を宣言したことから、同県が100年後の05年に条例で制定した。

一方、1905年は日本が韓国併合への道筋を開いた年であり、韓国は竹島を日本の植民地支配の象徴ととらえている。

県は式典に首相らの出席を求めていたが、政府は韓国側に配慮して首相や閣僚の出席を見送った。その一方で政務官を出すというのは、何ともちぐはぐな対応である。

この問題で、首相はこれまで慎重な姿勢をとってきた。

自民党の衆院選政策集は、竹島の日について政府主催の式典開催を明記していたが、今年は見送った。

日中韓の指導者の交代期となっており、近隣外交を仕切り直すチャンスととらえての現実的な判断だろう。

この路線を踏み外すべきではない。

たまたま22日には初の日米首脳会談がワシントンで開かれるが、米政府も日韓関係の改善を期待している。

北朝鮮が3度目の核実験を強行し、日米韓が連携を深める必要性が高まっている。ところが日米韓の「三角形」の一辺をなす日韓の安保協力が進まないのでは、相手に足元を見られるばかりだ。

日韓関係がぎくしゃくしたままでは、対中国の外交戦略も描きにくい。

韓国政府も、互いの政権交代を機に日韓関係を前進させたい思いは同じだろう。

首相としては、記念式典に政府が関与することで、地元や支持者の期待に応えたい気持ちがあるのかもしれない。

だが、それが日韓関係をこじらせる恐れがあるなら、その利害得失を冷徹に判断しなければならない。

竹島問題については、日本の立場を韓国側に引き続き粘り強く説明していくしかない。

こじれた日韓関係の打開に資するか否か。まずは、その観点から考えるべきである。

読売新聞 2013年02月23日

竹島の日 政務官の式典出席は妥当だ

領土問題に真剣に取り組む姿勢を示しつつ、韓国にも外交的に配慮した点で、バランスの取れた対応と言えよう。

政府が、島根県の主催する「竹島の日」記念式典に島尻安伊子内閣府政務官を派遣した。式典は8回目だが、政府代表の出席は初めてだ。その他、国会議員も過去最多の19人が出席した。

島根県は、1905年に竹島を県に編入した2月22日を「竹島の日」と定める条例を制定し、2006年以降、毎年、式典を開いている。竹島の領有権の早期確立を目指し、国民世論の啓発を図ることが目的である。

日本の主権にかかわる領土問題への国民の関心を高め、理解を広げるのは政府の仕事である。本来は政府が式典を開催すべきだ。

昨夏、韓国の李明博大統領は竹島訪問を強行し、天皇陛下への謝罪要求発言と合わせて、外交常識の一線を越える言動を行った。これを踏まえて、自民党は衆院選政策集で、「竹島の日」の政府式典の開催を打ち出している。

しかし、安倍政権は今年の式典主催を見送った。国際司法裁判所(ICJ)への竹島問題の単独提訴も先送りしている。朴槿恵次期大統領との間で、未来志向の日韓関係の構築を目指すためだ。

1月には額賀福志郎元財務相が首相特使として韓国を訪問した。今月25日の朴氏の大統領就任式には麻生副総理が出席する。

島根県が首相や閣僚の式典出席を要請しているのに対し、出席者を政務官にとどめたのも、韓国への配慮の一環にほかならない。

だが、韓国外交通商省報道官は政務官出席について「非常に遺憾で、強力に抗議する」との声明を発表した。これはおかしい。

そもそも島根県の式典は国内行事だ。いくら領土問題で対立しようと、他国が地方行事の出席者にまで口出しするのは、明らかな内政干渉で、行き過ぎである。

一方で、北朝鮮が核実験や長距離ミサイル発射を行い、中国が東シナ海で強圧的な示威活動を続ける中、東アジアの平和と安定のために日韓両国が連携する必要性はかつてないほど高い。

自由貿易協定(FTA)など経済面でも、日韓協力が双方の利益となる分野は少なくない。

大統領の交代は、悪化した日韓関係を改善する好機だ。領土問題の解決には相当な時間を要するとしても、この問題が両国関係全体を停滞させないように、日韓双方が注意深く対話を重ね、知恵を出すことが肝要である。

産経新聞 2013年02月21日

竹島の日 政務官の派遣を支持する

菅義偉官房長官は、島根県が22日に松江市で開く「竹島の日」式典に、島尻安伊子内閣府政務官を派遣すると発表した。政務三役の出席は初めてだ。日本固有の領土であることを、安倍晋三政権が国としてより明確に示すものと評価したい。

竹島の日は、明治38(1905)年に閣議決定を経て竹島を島根県の所管とする同県告示が出された日だ。

島根県はこれまで毎年、外相らに式典への招待状を出してきたが、いずれの閣僚も「日程上の都合」で欠席し、代理も出さなかった。今年は、安倍首相ら6閣僚が招待された。これに対し、政務官1人が派遣されることは、十分な対応ではないにしても、前進である。関連した集会には昨年、外務副大臣が出席した。

発表に先立ち、安倍政権が、島根県制定の「竹島の日」を政府として制定することを検討するとした答弁書を閣議決定したことも、評価に値する。

ただ、菅官房長官は、自民党が先の衆院選の公約で掲げた政府主催の「竹島の日」式典開催について、「政権が発足して間もないので、なかなか難しい」と述べ、今年は見送る意向を示した。3日後の25日に朴槿恵(パククネ)韓国次期大統領の就任式が行われることへの配慮とみられる。

竹島返還は島根県だけの問題ではなく、国を挙げて取り組まねばならない課題だ。来年こそ、政府主催の式典を開いてほしい。

自民党の石破茂幹事長は式典への政務官派遣について「わが国として最大限配慮していることを認識していただけると思う」と韓国側に理解を求めた。

李明博大統領は昨年8月、竹島に不法上陸したうえ、天皇陛下への謝罪を要求し、いまだに撤回も謝罪もしていない。朴次期大統領には、こうした言動を繰り返さないよう、自重を求めたい。

戦後の昭和27(1952)年、韓国の李承晩政権は竹島を組み込む「李ライン」を一方的に設定し、それ以降、韓国の竹島不法占拠が続いている。昭和40年の日韓漁業協定で李ラインが廃止されるまでの13年間に、日本漁船328隻が拿捕(だほ)され、44人が死傷し、3929人が抑留された。こうした被害も忘れてはならない。

今年の式典には、過去最多の国会議員18人が参加する。例年にない盛り上がりを期待したい。

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