東電虚偽説明 国会が福島原発調査を

朝日新聞 2013年02月08日

東電虚偽説明 国会が福島原発調査を

耳を疑うような、愚かな行為が明らかになった。

東京電力が昨年2月、国会事故調査委員会に虚偽の説明をし、福島第一原発1号機への現地調査を断念させていた。照明があるのに「真っ暗で危険」と誤った情報を伝えたのだ。

津波ではなく地震の揺れそのもので重要機器が壊れたのではないか。調査は、その真偽を確かめる決め手とみられていた。

東電広報部は「何らかの意図を持って虚偽の報告をしたわけではない」というが、とても納得できない。調査に協力するつもりで状況を調べれば、少なくとも明るさには問題がないことがすぐにわかったはずだ。

虚偽説明を受けた事故調の元委員はきのう、現地調査と東電への聞き取りを求める要望書を衆参両院議長あてに出した。

事故調はすでに解散したが、国会には1月末、衆院原子力問題調査特別委員会が設置されている。国会の権威が軽んじられたことを重く見て、国政調査権を使ってでも、徹底的な真相究明を進めるべきだ。専門家を加えて、いま一度、事故調をつくることも検討すべきだろう。

この問題は、事故の再発防止策とも密接にかかわる。

原子力規制委員会は今、原発の新安全基準をつくる作業を進めている。地震の揺れそのもので重要機器が壊れたかどうかは、地震対策のあり方を判断する重大なポイントになる。

政府、国会、民間の三つの事故調のうち、政府事故調は主に東電の聞き取りを基に「重要機器の機能は地震では損なわれなかった」とした。民間事故調は東電の協力を得られず、直接的な事故原因には迫れなかった。

国会事故調は違った。緊急時に原子炉を冷やす「非常用復水器」が揺れで壊れた可能性があると現地調査を求めた。それが虚偽説明で阻まれたのだ。

このままでは、新安全基準ができても大きな疑問を残すことになりかねない。

東電はまず、自ら事実関係を詳細に明らかにすべきだ。そのうえで、国会の調査が始まれば全面協力する必要がある。

東電は原発事故以前にも、トラブル隠しや政府への虚偽報告を繰り返してきた。

事故後は、社内のテレビ会議映像を部分公開するなど、説明責任で前進も見られる。しかし、安全への改革はまだ不十分といわざるを得ない。

事故原因の解明は公益中の公益である。巨額の税金で経営支援を得ながら、そこに思いをいたせないのでは、とても公益事業を名乗れない。

毎日新聞 2013年02月09日

東電検証妨害 事故調査を継続せよ

東京電力福島第1原発1号機の重要機器が津波以前に地震で壊れていたのではないか。事故原因にかかわる疑問に答えるための検証作業を東電が妨害していたことがわかった。

昨年2月、国会事故調査委員会が現地調査を決めた際に、実際には光が差している原子炉建屋が「真っ暗」だと主張し、調査を断念させていた。迷って放射線量の高いところに踏み込む恐れなども強調し、調査に同行することを拒んだという。今さらながらに驚く話である。

東電は、「意図的ではない」と釈明しているが、信じにくい。百歩譲って東電が言うように確認不足だったとしても、それはそれで大きな問題だ。

これほどの大事故を起こしたのだから、原因究明は何ものにも勝る優先事項である。国会事故調は国民に成り代わってそれを調べる機関なのだから、できる限り真相に迫れるよう、東電が最大限の努力をするのは当然のことだ。

調査要請があれば、現場の状況をきちんと把握した上で、危険を回避しつつ調査ができるよう取り計らう。そうした常識的な行動を取っていれば、「真っ暗」と思い込むはずもない。いずれにしても、国民に対する不誠実な態度というしかない。

検証が妨害されたのは1号機の原子炉建屋の4階に位置する「非常用復水器(IC)」の地震による破損の有無だ。非常時に電源なしで炉心を冷却する装置だが、結果的にうまく働かなかった。

東電は地震による損傷を否定している。しかし、国会事故調の委員によれば、津波以前に同じ4階で出水があったとの証言があり、地震によりICの配管などが破損した可能性は否定されていない。

地震で機器が破損したか否かは、今後の原発のリスク評価や安全基準にもかかわる。現在、原子力規制委員会が原発の新たな安全基準の策定を進めている。地震による破損があったとすれば、揺れに対し、より厳重な対策が求められる。

国会は改めて検証作業を行うべきだ。ICの破損に限らず、福島第1原発の過酷事故の原因究明は終わっていない。国会事故調も政府の事故調も解散しているが、検証作業は続けなくてはならない。

衆院には先月、常設の「原子力問題調査特別委員会」が設置されている。ここを中心に、原因究明作業を継続してもらいたい。安全規制を担う原子力規制委にとっても、原因究明は欠かせない作業だ。

福島第1原発の事故原因をうやむやにすることは、日本にとっての損失にとどまらない。国際的な観点からも損失であり、許されない。

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