代表質問 まず経済で徹底論戦を

朝日新聞 2013年01月31日

代表質問 なめられるぞ、野党

安倍首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった。

政権交代後、与野党が論戦を交わす最初の舞台だ。自民、公明合わせて320議席を超える巨大与党に、野党がどう挑むかも注目された。

だが、きのうの衆院本会議での民主党と日本維新の会の質問を聞く限り、迫力を欠いたと言わざるをえない。

民主党の海江田万里代表は、経済の専門家らしく安倍政権の経済・財政政策の追及に多くの時間を割いた。

アベノミクスは、財政出動と公共事業に偏重している。2%の物価上昇は、国民生活に副作用を及ぼす――。

こうした懸念は、私たちも共有する。

では、民主党は政権時代の反省もふまえ、どうしたら経済再生が実現できると考えているのか。海江田氏は「グリーン、ライフ、農林漁業の3分野に予算を重点配分する」と従来の主張を繰り返すにとどまり、物足りなかった。

中国や韓国との関係改善をどう図るのか。普天間問題をどう打開するのか。これらについても海江田氏は首相の考えをただすだけで、具体的な対案を示すことはなかった。

環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加については、質問すらなかった。民主党内で賛否が割れているからだろうが、これでは政権に足元を見られてしまう。

実際、答弁に立った首相は「大変困難な状況の中で民主党代表に就任された海江田氏に敬意を表し、エールを送りたい」と余裕さえ見せた。野党として情けないではないか。

一方、維新の平沼赳夫・国会議員団代表は、首相が持論とする憲法改正や集団的自衛権の行使容認などにエールを送る場面が目立った。

自民党との保守連携をにらんでいる、と勘ぐられても仕方あるまい。

地方からの改革を訴えて野党第2党に躍り出た維新にとって、この日が国政のデビュー戦だった。平沼氏の保守色の強い主張や、安倍政権への親和的な姿勢に、違和感を覚えた支持者もいるだろう。

政権交代時代の野党の役割は、政権の暴走をチェックするとともに、説得力のある対案を示してその実現を迫ることにある。両党とも、その自覚が足りない。

国会は6月26日までの長丁場だ。これからの論戦で、ぜひとも野党としての気概を見せてほしい。

毎日新聞 2013年01月31日

代表質問 まず経済で徹底論戦を

安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。自民党が圧勝し、政権が再交代した衆院選から約1カ月半。民主党をはじめ野党の影がすっかり薄くなる中での国会論戦スタートである。

質問のトップに立った海江田万里民主党代表が「厳しい民意が示されたことを厳粛に受け止める」とまず反省の弁を口にしたのも、同党を取り巻く厳しい現状の表れだろう。ただし、海江田氏が目下の最大焦点である一連の「アベノミクス」に重点を置き、真っ向から論戦を挑んだ点は評価していい。

安易な国債発行は将来世代に対する負担の先送りではないか。政策メニューは歳出増加項目が目白押しだが、経済成長率を高く見積もり、税収増で賄おうという「つじつま合わせ」を考えているのなら無責任ではないか。公共事業に偏重した旧来型政策に効果は乏しく、財政赤字を膨らませてきただけではなかったか。金融緩和によって年2%の物価上昇目標は実現が可能か。あるいは雇用や給与はほとんど増えず、物価だけが上がれば実質賃金の引き下げになるなど副作用の懸念はないか−−。

海江田氏が挙げた疑問点は、私たちもこれまで指摘してきた通りだ。だが、残念ながら首相は道路特定財源の復活を否定したほかは、「できる限り」といった言葉を多用し、答弁は著しく具体性を欠いた。これでは首相が答弁の冒頭で自ら期待を示した「建設的で緊張感のある議論」とは到底言えない。

経済政策だけでない。自民、公明、民主3党で合意したはずの国会議員定数大幅削減に関しても、首相は「各党で協議を」と語るだけで素っ気なかった。原発をどうするかなどエネルギー政策のあり方や、今後の日中、日韓関係なども含めて、もっと踏み込んだ説明が必要だ。

各党が夏の参院選を見すえる通常国会だ。確かに民主党の立て直しは容易ではなさそうだ。だが、惨敗にぼうぜん自失している時は過ぎた。そして再建への第一歩は、政権を一度担当した経験を生かしながら、徹底した論戦を通じて新しい野党像を示していくことではないか。

海江田氏は「決める政治」を進めるとも明言した。不毛な与野党の足の引っ張り合いとは縁を切る決意の表明だろう。ならば当面、補正予算案に盛り込まれた公共事業に無駄なものがないか、詳細に調査してチェックすることに力を注いでほしい。

この日、質問に立った自民党の高村正彦副総裁も「これは無駄だという指摘があれば、真摯(しんし)に耳を傾ける」と語った。建設的な論議とはそういうものだ。与野党ともに新しい国会の姿を見せてほしい。

読売新聞 2013年01月31日

代表質問 経済再生へ建設的論戦深めよ

現下の最重要課題である日本経済の再生へ、与野党は建設的な論戦を展開してもらいたい。

安倍首相の所信表明演説に対する各党代表質問が始まり、首相と民主党の海江田代表が初めて対決した。

海江田氏は、政府と日銀による2%の物価目標について、実質賃金の低下や長期金利の上昇など、「国民生活への副作用も無視できない」と懸念を示した。

政府の景気対策についても「公共事業に偏重した旧来型経済政策は効果に乏しい」と批判した。

首相は、金融緩和の副作用について「機動的なマクロ経済運営などで対応する」と反論した。景気対策では、財政規律にも配慮するとして、「財政健全化と経済再生の双方を実現する」と語った。

海江田氏の指摘には一理ある。だが、金融・財政政策と成長戦略の「3本の矢」を連動させる安倍政権の方針が好感され、円安・株高が続いているのは事実だ。

長年の課題であるデフレ脱却を実現するには、従来以上に強力な手段が求められている。政府と日銀がより緊密に連携し、景気にテコ入れすることが重要だ。

エネルギー政策では、海江田氏が「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す民主党政権の戦略を維持するかどうか質問したのに対し、首相は見直すと明言した。

電力の安定供給に必要な代替エネルギー確保の見通しがない中、見直しは当然だ。政府は、原発立地自治体や関係国と十分協議し、安全な原発は活用する方向で新戦略を策定する必要がある。

海江田氏は、民主党の役割について「自公政権のチェック機能を果たす」一方で、「政権運営の経験を持つ野党として『決める政治』を前進させる」とも語った。

妥当な認識だ。衆参ねじれ国会の下、参院第1党の民主党は、政治を動かす責任の一翼を担っていることを忘れてはなるまい。

以前の野党・民主党のように、国会同意人事などで政府を揺さぶることを優先するような「抵抗野党」の国会戦術は国民に評価されず、党の再生にも逆行しよう。

日本維新の会の平沼赳夫国会議員団代表は、政府・与党に「是々非々」で臨む考えを示した。経済政策などでは「首相の姿勢に共感を覚える」とエールも送った。

予算案や関連法案の早期成立には野党の協力が欠かせない。

安倍首相は「与野党の叡智(えいち)の結集」を呼びかけた以上、野党の主張にも耳を傾け、適切に施策に反映させる柔軟性が求められる。

産経新聞 2013年01月31日

代表質問 まずは改憲条項の緩和だ

安倍晋三首相は所信表明に対する衆院代表質問で、憲法改正に関し「まずは多くの党派が主張している96条の改正に取り組む」と答弁した。

憲法96条は、改正の発議には「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を必要としている。

自民党や日本維新の会は発議要件を2分の1に緩和する案を示しており、首相が「不磨の大典」の見直しを最優先すると表明した意味は大きい。

改正に慎重な公明党の説得などは残るが、賛同する勢力を増やすためにも、憲法改正への具体的な論議を深めてほしい。

アルジェリアの人質事件を受け、首相は海外で邦人が安心して活動するため、「必要な対策に全力で取り組む」と強調した。

資源開発などの最前線で活躍する日本企業や日本人の安全を確保するのは、国家として当然の責務である。今回の事件では、情報収集能力や防衛駐在官による軍同士のネットワークの不備などが浮き彫りになった。

また、自衛隊による邦人救出を困難にしている「安全の確保」の条件を前提にしている自衛隊法も改正を迫られている。

自民党幹部が早々と「国会日程に収まらない」と改正見送りを示唆したのは耳を疑う。首相は日本版NSC(国家安全保障会議)にも言及しており、国民を守るために必要な措置を取ってほしい。

憲法と同様、所信表明演説では触れなかった原発・エネルギー政策について、安倍首相は、民主党政権が2030年代の原発稼働ゼロに向けてまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」を、「ゼロベースで見直していく」との見解を表明した。

民主党の海江田万里代表は、安倍政権のエネルギー政策を「後退だ」などと批判したが、首相は「『戦略』は具体的根拠を伴わず、これまで協力してきた原発立地自治体や国民に対して不安を与えた」と主張した。

「いかなる事態でも国民生活や経済活動に支障ない」エネルギーを確保するには、電力の安定供給が不可欠であり、それには安全上問題のない原発の再稼働を進めていかなければならない。首相発言は妥当である。

立地地域の住民などの理解を深めるため、首相が自ら前に出ていく姿勢も重要になることを認識してほしい。

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