B787トラブル 調査は安全向上の好機

毎日新聞 2013年01月13日

B787トラブル 調査は安全向上の好機

最新鋭の中型旅客機「ボーイング787」でトラブルが相次ぎ、事態を重くみた米当局が、包括調査に乗り出す。結果次第では、米ボーイング社はもちろん、将来の主力機と重視している日本の航空大手も重大な影響を受ける恐れがある。それでも、安全を何より優先し、徹底的に問題を解明してもらいたい。

「ドリームライナー」の愛称が付いたB787は11年秋、商業運航が始まった。機体の軽量化で燃費が大幅に改善、大型機並みの長距離飛行が可能になったほか、地上の状態に近い気圧、湿度といった機内環境、軽減された騒音など、夢の旅客機として期待を集めた。

日本との関係も密接だ。世界で初めて就航させたのは全日本空輸だが、これまで航空8社に引き渡された計50機の約半数を全日空と日本航空の2社が保有する。製造にも多数の日本企業がかかわった。軽量化を可能にした炭素繊維複合材を東レが開発したほか、主翼や胴体部分から、タイヤ、電子部品まで、日本企業の製造分担比率は35%に及んだ。

しかし、ハイテク機であるだけに開発段階から問題が多発し、1号機の納入は3年も遅れた。改良費用や遅延に伴う航空会社への賠償などでボーイングの負担は大幅に膨らんでしまった。

今回決まった調査の期間中、B787機は通常の運航を続けることになっているが、設計の見直しなどに発展すれば今後の生産計画に影響が及び、追加費用も強いられよう。B787の投入で新たな路線の就航が可能になった航空会社も、計画に修正を迫られる可能性がある。

B787に限らず、新型機には当初トラブルがつきものだという。とはいえ、補助電源の発火やブレーキの不具合など安全にかかわる問題を看過することはできない。そうした意味で、約20万時間もかけた審査の末、商業飛行の承認を与えていた米連邦航空局(FAA)が、設計や製造工程も含む包括調査を決断したのは評価できる。

ボーイングは787の信頼性を引き続き強調しているが、安全に十分はない、という前提で、当局との調査に全力を挙げてもらいたい。

一方、発火事故が起きたリチウムイオン電池は日本企業が製造している。日本の国土交通省や製造者、さらに航空会社が米側と情報を共有しながらチームプレーであたることが早期解決につながるだろう。

時間がかかったとしても、わからない問題を取り除くことこそ、乗客や投資家からの信頼を高める早道となる。改良に努めることで、次世代機の開発に役立つ新技術も得られる。前向きにとらえたい。

読売新聞 2013年01月16日

787トラブル 「夢の翼」も安全であってこそ

米ボーイング社の最新鋭中型機「787」で燃料漏れなどのトラブルが相次ぎ、日米の航空当局が調査に乗り出した。

小さなトラブルが重大事故につながる恐れはないか。最優先しなければならないのは安全である。日米当局には、徹底した原因解明を求めたい。

787は炭素素材を使って機体を軽量化し、燃費を大幅に改善した省エネ旅客機だ。「ドリームライナー」と呼ばれる。

低コストで長距離の路線に投入できるため、航空会社の収益拡大に貢献するとの期待が高い。世界中から800機の発注があり、2011年秋、世界に先駆けて全日本空輸が運航を開始した。

現在、運航されている約50機のうち、主力機と位置づける全日空が17機、日本航空が7機と両社でほぼ半分を保有している。

米ボストンの国際空港で7日、駐機中の日航機の補助動力用バッテリーから出火したトラブルで、問題が表面化した。

8日には、この空港を走行していた別の日航機の主翼から燃料漏れが見つかり、その後、国内でも全日空機でオイル漏れや操縦席の窓のひび割れなどが発生した。

今月だけでトラブル6件は多すぎるのではないか。昨年には、米ユナイテッド航空機が電子系統の故障で緊急着陸し、カタール航空機の不具合も報告されている。

米連邦航空局(FAA)は、787の設計や製造工程など安全性に関する包括的な調査を行うと発表した。FAAのフエルタ長官は「何が起きているのか把握する」との見解を示した。

国土交通省も専門チームを設置し、独自の調査を始めた。

787に限らず、新型機は就航後、細かな不具合が生じるとされるが、日米当局が事態を重視したのは妥当な判断と言えよう。

787は開発段階からトラブル続きだった。全日空への1号機納入も予定より3年以上遅れた。

ボーイングは787の信頼性を強調するが、新技術を満載したハイテク機であることが今回の不具合と関係しているかどうかを究明する必要がある。

炭素繊維、主翼や胴体、タイヤなど787に使われている部品の多くが日本製だ。製造に関わった日本企業と当局が連携し、問題を早期に解決してもらいたい。

今回の調査は設計の見直しなどに発展する可能性は低いとする観測があるものの、787を運航する航空会社には不断のチェックを求めたい。

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