日本経済の再生や、デフレ脱却に向け、経済政策の司令塔を十分に機能させ、着実な成果を上げねばならない。
政府の経済財政諮問会議が3年半ぶりに再開した。安倍首相が議長を務め、甘利経済財政相ら主要閣僚と白川日銀総裁がメンバーだ。民間から佐々木則夫東芝社長ら4人も加わった。
民主党政権は諮問会議を休眠状態とする代わりに、国家戦略会議を新設したが、政策が迷走し、十分な成果を得られなかった。
安倍政権が諮問会議を復活させ民間の知恵も生かして政策決定プロセスを立て直すのは妥当だ。
かつて小泉政権時代、諮問会議は官邸主導で政策を進めるエンジンとして活用された。安倍政権も諮問会議を司令塔とし、「強い経済」を取り戻す狙いがあろう。
諮問会議は、財政運営などのマクロ政策を議論する役割を担う。まず、中長期的な経済財政運営の基本方針となる「骨太の方針」を6月をメドに策定する。
政府は景気てこ入れのため、緊急経済対策に大型の財政出動を盛り込む方針だが、一方で財政規律も堅持しないと、日本の財政悪化への懸念が高まりかねない。
諮問会議は、景気と健全財政の両立を目指し、将来の財政再建シナリオを描いてもらいたい。
諮問会議がとくに注目されるのは、首相と日銀総裁が定期的に議論する場にもなることだ。
首相は大胆な金融緩和を求め、消費者物価の2%上昇を達成する物価目標の設定や、政府と日銀の政策協定締結を要請してきた。
諮問会議で首相は、「日銀はこれを十分踏まえた金融政策を実施してほしい。政府と日銀の連携を一層深化させる」と発言した。
白川総裁は「精力的に(金融緩和策に)取り組んできたが、これからも取り組む」と述べた。
長期化しているデフレからの脱却へ、政府と日銀が協調を深める一歩となったのではないか。
日銀は今回の議論を踏まえ、21~22日に開く金融政策決定会合で政府と連携した追加策を打ち出すことが期待されよう。
政府は諮問会議を、ミクロ政策を検討する「日本経済再生本部」とともに、経済政策を推進する両輪と位置づける。再生本部に産業競争力会議を設置し、成長戦略など産業政策を立案させる。
両輪をうまく連携させ、各府省の縦割り行政の弊害を打破することが肝要だ。首相と経済財政相が主導し、実効性の高い政策を速やかに実施すべきである。
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