COP15 G2が動いて世界が動く

朝日新聞 2009年11月22日

COP15 G2が動いて世界が動く

地球温暖化の今後を左右する重要な国際会議が半月後に迫ってきた。デンマークの首都コペンハーゲンで開かれる国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)である。

京都議定書を引き継ぐ国際的枠組みをつくるには、各国首脳がCOP15の場で大枠について政治合意をまとめなければならない。

先週あった閣僚級のCOP15準備会合で、目指すべき「コペンハーゲン合意」の骨格を議長国デンマークのラスムセン首相が提案した。

先進国の温室効果ガス削減目標をはじめ、新興国・途上国の削減行動、途上国への技術や資金の支援など、すべての課題について、具体的で政治的拘束力のある合意文書をまとめる。それをバネに、来年の早い時期に法的拘束力のある新しい枠組みをつくる。そういった内容の提案だ。

コペンハーゲン合意をあいまいな内容にしないよう、この提案に沿って交渉を加速させる必要がある。

これまで、先進国と新興国・途上国の対立で交渉は難航してきた。「京都議定書を単純延長すればいい」といった意見もくすぶっている。

だが、現行の京都議定書の枠組みのままでは、離脱した米国と途上国扱いの中国に削減を促せない。排出量1位の中国と2位の米国だけで世界の排出量の4割も占める。二つの大国(G2)の削減努力が欠かせない。

これまで中国は「先進国がまず削減すべきだ」と主張してきた。米国内には、中国にも削減義務を課すよう求める声が根強い。互いの出方をうかがう消極姿勢が国際交渉を足踏みさせてきたことは否めない。

オバマ大統領は今回の訪中で胡錦濤国家主席と会談し、COP15の成功に向けて努力する姿勢を確認した。それは有意義なことだが、両国に求めたいのは行動である。排出削減の具体的な目標を早く示してほしい。

オバマ大統領は、関連する国内法の年内成立が難しい現状では国際公約を掲げにくい、という苦しい事情を抱える。だが、米国の思い切った行動なしにCOP15の成功はない。大統領の指導力に期待したい。

胡主席は、9月の国連会議で「国内総生産(GDP)当たりの排出量を05年より著しく減らす」と表明した。その意欲を裏付ける目標数値を早急に知りたいところだ。

ここへきて、ブラジルや韓国などが相次いで削減目標を打ち出している。日本も12年までの3年間で90億ドル規模の支援で、新興国・途上国の行動を後押ししようとしている。中国が目標値を掲げるなど積極的に動けば、交渉を一気に加速させられる。

いまこそ「二つの大国」が決意と行動で世界を引っ張る時である。

産経新聞 2009年11月24日

COP15と日本 現実的な削減率に緩和を

国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が間近となった。デンマークのコペンハーゲンで12月7日から18日まで開催される。

地球の温暖化防止を目指し、世界が力を合わせて行動する体制を構築するための会議である。

現行の京都議定書は、2012年で期限が切れる。COP15は13年以降の枠組みを決める場だ。本来は一段と効果的な「新議定書」が、この節目の会議で採択されるはずだった。

ところが、事前の準備会合を通じても先進国と途上国の間の意見の溝は埋まらなかった。COP15で、新議定書がまとまる可能性は開催前に消えている。

その代替策として目下、有力視されているのが「政治合意」の形成だ。重要なのは政治合意の中身である。どうやら、京都議定書の暫定延長が浮上しそうな雲行きだ。京都議定書の下で、中国は排出削減義務を負っていないし、米国は参加すらしていない。

現状維持に近い暫定延長は、この2大排出国にとって便利な妥協であるだけに、とりあえずそこに落ち着く可能性は大である。

しかし、日本をはじめとする加盟先進国には、途上国側から多くの要求が出されるだろう。20年までの中期目標として、現状より高めの温室効果ガス削減率の設定や、より手厚い途上国への資金援助策などである。

日本の場合は、鳩山由紀夫首相が早々と1990年比25%削減を表明している。しかし、これは主要排出国の参加を条件とした数値である。COP15の交渉の場で、それを忘れてもらっては困る。

京都議定書の「6%削減」義務を果たすにも、日本は官民で約1兆円を投じて排出枠を買う。国民の税金であり、企業の努力の蓄積だ。公約する日本の中期目標は国民生活を圧迫しないように、現実的な削減率に緩和すべきだ。

鳩山首相は日本が高い目標値を示すことで、COP15への米国の参加と中国の歩み寄りを促そうとした。だが、期待は外れた。

日本が地球温暖化問題でリーダーシップを取るという幻想は、捨てなければならない。発言力を持っているのは、残念ながら大量排出国なのだ。

COP15には、鳩山首相をはじめ、多数の首脳が出席しようとしている。日本は米中首脳の参加呼び掛けなど、有能な調整役として存在感を示すべきであろう。

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