きのう、民主党と自民党の新執行部が会い、野田首相と安倍総裁が初めて顔をあわせた。
首相が、党首会談を開いたうえで、「しかるべき時に臨時国会を開きたい」と安倍氏に求めたが、具体的な召集時期は示さなかった。
両党の新執行部が出そろって2週間がすぎたというのに、国会の日程さえ決まらない。内外ともに課題が山積みのなか、危機感のなさにあきれる。
きのうは、こんなこともあった。震災の復興予算が被災地以外で使われた問題の解明をめざす衆院の決算行政監視委員会の小委員会を、民主党が欠席して流会に追い込んだのだ。
自民党の委員長が、国会閉会中の開催を一方的に決めたからだという。だが、そんな理屈は通らない。
予算が適正に支出されているかどうかを検証し、誤りがあれば正す。それは立法府として当然の責務である。民主党のふるまいは、あまりに無責任だ。
まして復興予算には復興増税が投入される。消費増税も決まったばかりだ。
ことは国民の税への信頼にかかわる問題である。早く臨時国会を開いて、使途の本格的な検証をする必要がある。
臨時国会で議論を深めるべきテーマはほかにもある。
ひとつは、領土外交だ。
尖閣諸島や竹島の問題で、自民党は野田政権の対応を批判している。では安倍政権ができればどうするのか、自民党の案をぜひ示してほしい。今週、麻生元首相が訪韓し、李明博(イミョンバク)大統領と会談した。その成果も聞いてみたい。
一方、共産党の志位委員長は尖閣について、「政府として領土問題の存在を認め、外交交渉で解決を」と提案している。
与野党が知恵を出し合い、打開策を探る。そんな建設的な国会論戦がいまこそ望まれる。
原発・エネルギー政策も重要だ。野田政権が9月にまとめた「2030年代に原発ゼロ」の方針は、一度も国会で議論されていない。
自民党や経団連は、原発維持の立場から反対している。逆に反原発の立場から、政権が「原発ゼロ」方針の閣議決定を見送ったことに対する批判もある。
国会の場で与野党が意見をぶつけ合えば、総選挙の争点を明確化することにもつながる。
これ以上、国会の職場放棄は許されない。
首相は衆院解散を恐れることなく、民自公3党の党首会談に臨み、一日も早く臨時国会を召集する決断をすべきだ。
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