大阪維新の会 大衆迎合的な公約が気になる

朝日新聞 2012年09月04日

橋下維新の会 国政に進出する前に

橋下徹大阪市長ひきいる大阪維新の会が、次の総選挙で国政進出をめざすという。

民主、自民など既成政党の体たらくを見るにつけ、「古い政治を一掃し、新しい政治をつくる」という橋下氏の主張は確かに新鮮だ。

各種の世論調査で期待が高いのもそのためだろう。

一方で、国民の支持を得た新党が、あっという間に失速して姿を消す。そんな例をこれまで何度も見てきた。

今回は違う、と橋下氏はいうのだろう。ならばまず、ふたつのことを問うておきたい。

ひとつは、橋下氏自身の身の振り方である。

総選挙では300人規模を擁立し、過半数の獲得が目標という。当然、第1党になって政権をとったり、連立政権に加わったりする覚悟があるのだろう。

ところが、党首である橋下氏自身は立候補せず、市長にとどまるという。

府知事から市長に転じてわずか9カ月、持論の大阪都構想も道半ばで市長職を放り出しては市民の納得はえられまい。

他方、国政は片手間でできるような仕事とは思えない。

政党としての責任の所在があいまいになる心配もある。さらに、税財源の配分など、国と地方の利害がぶつかる場合はどうするのか。

党首と市長にどう折り合いをつけるのか、説明してほしい。

ふたつめは、政策集「維新八策」についてだ。

もっとも目を引くのは「統治機構の作り直し」である。

「動かない政治」をどう動かすかが、目下の政治の重要課題であるのはその通りだ。

八策にはその答えとして、首相公選制、参院の廃止、憲法改正発議要件の緩和など憲法改正が必要な項目が並んでいる。

政党が憲法改正を掲げること自体を否定するつもりはないが、肝心なのは政治を動かして実現する政策の中身だ。

日本は少子高齢化や低成長、巨額の財政赤字といった難題に直面している。原発事故を受け、新たなエネルギー政策をどう描くかも急務だ。

八策には、消費税の地方税化と地方交付税の廃止、年金の積み立て方式化、脱原発依存体制の構築などの政策が並ぶ。

しかし、こうした個別の政策をどう実現していくのかも、本当に難題の解決に結びつくのかもまだ見えない。さらに、その先にどんな社会像、国家像があるのかもわからない。

その展望を、橋下氏はもっと具体的に語る責任がある。

読売新聞 2012年09月04日

大阪維新の会 大衆迎合的な公約が気になる

実現可能な公約なのか疑問は拭えない。

大阪維新の会が、次期衆院選公約「維新八策」の最終版を公表した。

維新の会は、現職国会議員5人以上の参加を得て今月半ばに新党を結成する方針だ。読売新聞の世論調査では次期衆院選比例選の投票先で、維新の会は1位の自民党21%に次ぐ16%だった。“台風の目”となりそうだ。

維新八策は環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を打ち出すなど、評価できる点もある。

一方で、思いつきのように見える公約も目立つ。たとえば「衆院議員定数の半減」だ。維新の会代表の橋下徹大阪市長は、小選挙区を統合して拡大し、国会議員が外交・安全保障など国全体を考えるようにする必要があると言う。

だが、衆参ねじれ国会の下で実現するには大きな政治的コストがかかる。現に民主党は衆院比例選定数80削減を公約しながら、依然実現できないままだ。中長期の問題提起ならわかるが、公約にすることは慎重であるべきだろう。

消費税の地方税化とそれに伴う地方交付税の廃止も疑問だ。

財政事情が厳しい中、消費税収を地方財源に回して、一体どうやって毎年1兆円前後も増加する国の社会保障費を賄うのか。

民主、自民、公明3党の合意をもとに成立した社会保障と税の一体改革関連法に対する賛否も、明らかにする必要がある。

地方交付税には、自治体の財政格差を調整する役割がある。橋下氏は、廃止後の対応を自治体間や第三者委員会の調整に委ねると言うが、そう簡単にはいくまい。

経済政策では、「競争力の強化」を強調し、「脱原発依存体制の構築」も訴えている。脱原発依存を進めればエネルギー費用は増大し、産業の空洞化が加速しかねない。成長戦略と脱原発依存をどう両立させるか、説明が要る。

基本方針として、憲法改正が必要な首相公選制を明記した。

ただ、この制度に関しては、一度導入したイスラエルで政治が混迷した末に撤廃されている。「人気投票的になることは防ぐ」というが、そんなことが可能なのか、疑問符を付けざるをえない。

「日本の国の仕組みを変える」と訴える維新の会が、こうした大衆迎合色の濃い公約を提起している点は、気がかりだ。

前回衆院選で、民主党が国民受けを狙った政策を並べ、予算を組み替えれば16・8兆円もの財源を作れると公約して大混乱を招いたことを教訓とすべきである。

産経新聞 2012年09月04日

維新の会と八策 国政を担う責任どうする

二大政党にとっては衝撃的な結果だろう。

産経新聞社とFNNの合同世論調査で、橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」が次期衆院選の比例代表投票先として約24%を占め、自民党(22%)、民主党(17%)を抑えてトップに立ったことだ。

国政進出を目指す維新の会は、現職国会議員を引き入れた上で近く結党宣言を行うことを予定している。選挙後に政権を担うこともあり得ることが明らかになった以上、その政治行動や打ち出す政策はより厳しく問われなければならない。

大きな疑問は、橋下氏が「大阪都構想の実現のため、さらにステージを上げる」と維新の会の国政進出を唱えながら、自身の衆院選立候補については否定的な見解を繰り返していることだ。

総選挙は党首選びを通じて日本の最高指導者を選出するという意味合いがある。だが、それは橋下氏が国会議員になっていなければ成り立たない。

大阪市長にとどまったまま、維新の会を通じて政権に関わるというのでは無責任極まる。

「市長職を投げ出してもいいのか」という批判もあるものの、首相としての責任を全うできないのでは、さらに問題がある。

維新の会が衆院選公約の柱としてまとめた「維新八策」の多くの疑問点、問題点もまだ解消されていない。

年金制度では、現役世代が自ら老後に受給する分の保険料を払い込む積み立て方式を打ち出した。だが、移行期間中は現在の高齢者への支給もまかなう賦課方式との併存となる。現役世代の二重負担の解決策が示されていない。

憲法改正については、核心となる憲法9条をどのように変えるのかを具体的に示さないまま、国民投票に委ねる他人任せの姿勢も変わっていない。

一方、定数是正さえ実現できない既成政党の体たらくに対し、衆院定数480の半減策は有権者にも強いインパクトを与えよう。

慰安婦問題で、軍などの強制連行があったと決めつけた「河野談話」を批判した歴史認識などは評価したい。

維新の会への期待は民主、自民両党への失望と不信の裏返しだ。二大政党の奮起こそが求められている。いずれの党も国をどうするかの政策を磨く好機である。

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