英国人女性の死体遺棄容疑で指名手配されていた市橋達也容疑者が、やっと逮捕された。
千葉県警は今後、殺人容疑で追及する。2年7か月に及ぶ逃亡生活の詳細も解明しなければならない。
市橋容疑者の住むマンションのベランダから女性の他殺体が見つかっていた。その直前、マンションを訪れた警察官の職務質問を振り切って逃げていた。
職務質問の際の警察の態勢に問題はなかったのか。初動捜査のあり方を含め、捜査が長期化したことの検証が必要だ。
千葉県で起きた事件だが、容疑者は福岡や大阪、名古屋を逃げ回っていた。全国警察の連携が、ますます重要になっている。
容疑者は、整形手術を繰り返して人相を変えていた。この事実がわかったのは、名古屋市の美容整形外科医院から警察に通報があったからだ。まさに、この医院の大手柄だった。
市橋容疑者は先月下旬、偽名を使って、この医院で鼻の整形手術を受けた。来院したときは、すでに何度か整形手術を受けた跡があり、指名手配中の写真とはまったく違っていたという。
その後、警察が同医院で撮影された写真を公開し、住み込みで働いていた建設会社などから警察に情報が相次いだ。逮捕の決め手となったのも、フェリー会社の社員からの通報だった。
それにしても、市橋容疑者は人相を変えてしまうような整形手術を、いつごろ、どこで受けたのだろうか。手配中の男と気づいて整形外科医が手術していれば、明白な捜査妨害だ。刑法の犯人隠避などに触れる可能性もある。
警察が指名手配して行方を追っている容疑者は約1400人に上る。逃走手段としての整形手術を防ぐために、警察と医療機関側で対策を講じるべきだろう。
警察庁の公費懸賞金制度の対象事件でもあった。同庁は今回、有力情報の提供者に懸賞金を支払うことを検討しているが、そうなれば、2007年4月に制度ができて以来、初の適用例となる。
まず警察の捜査能力が問われるのはもちろんだが、懸賞金の有無にかかわらず、容疑者逮捕には民間の協力も欠かせない。
島根や千葉の女子大生が殺害される凶悪な事件が起きた。首都圏や鳥取の連続不審死もある。
民間からの情報を得る上で、どのように捜査情報を公開していくことが効果的か、警察も絶えず工夫すべきだろう。
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