竹島に関する日本の領有権の正当性を広く国際社会に訴え、認知させる意義は大きい。
政府が、竹島問題を国際司法裁判所に提訴する方針を発表した。
近日中に日韓両国による共同付託を韓国に提案し、韓国が応じない場合は、日本単独で提訴する方向だ。
藤村官房長官は「国際法に基づき、冷静公平かつ平和的な紛争解決を目指す。韓国が自国の領有権主張が正当と考えるなら、提案に応じるべきだ」と強調した。
韓国は従来、付託を拒否しており、今回も応じない方針だ。国際司法裁の紛争解決は当事国双方の同意が前提のため、裁判が開廷する見通しは立っていない。
だが、提訴を通じて、竹島が韓国に不法占拠されている現状や、韓国の主張の不当性が国際社会に認識されよう。日本は粛々と手続きを進めることが大切だ。
竹島をめぐる過去の経緯を振り返れば、日本は、17世紀半ばに領有権を確立し、1905年には島根県への編入を閣議決定した。
大戦後のサンフランシスコ講和条約でも、日本が放棄すべき地域から竹島は除外されていた。
ところが、韓国は条約発効直前の52年、当時の李承晩大統領が公海に国際法違反の「李承晩ライン」を設定して竹島を取り込み、それ以降、不法占拠を続けている。
竹島は歴史的にも国際法上も日本の領土であると、政府は折に触れて主張していく必要がある。
現在の混乱を招いた責任は、ひとえに、竹島訪問を一方的に強行した李明博韓国大統領にある。
内政面で苦境にある首脳が、日本との歴史認識や領土の問題を持ち出し、国内のナショナリズムに訴えて人気取りを図るのは、韓国歴代政権の常套手段だった。
だが、今回の李大統領の行動は、その後の「天皇謝罪」要求発言と合わせて、格段に罪深い。韓国側はそれを自覚すべきだ。
日本側は、さらなる対抗措置として、日韓の首脳会談や政府間協議の延期を検討している。安住財務相は、金融危機時に外貨を融通し合うための日韓通貨交換(スワップ)協定の融資枠を縮小する可能性を否定していない。
当面、日韓関係の停滞が続くのは避けられまい。
関係悪化のツケは結局、日韓両国に回ってくる。北東アジアの安全保障問題でも、日韓の足並みの乱れは北朝鮮を利するだけだ。
日韓関係が決定的に悪化しないように、政府間で冷静に対話を重ねることも重要である。
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