最終盤を迎えたロンドン五輪で際立つのは、日本の女子選手の活躍である。世界の強豪を向こうに回しての堂々とした戦いぶりに、元気をもらった人も多いことだろう。
大会15日目(10日)時点で日本選手が獲得した5個の金メダルのうち、4個までが女子によるものだ。レスリングで3個、柔道で1個を手にした。
レスリングの伊調馨、吉田沙保里両選手の五輪3連覇は、見事の一言に尽きる。日本の女子では初の快挙だ。2004年のアテネ五輪から、世界トップの実力を維持してきた努力をたたえたい。
いったんは引退しながら、頂点を極めた小原日登美選手のこれまでの道のりも感動的だった。
日本のレスリング界は、男子で培ったノウハウを生かし、早くから女子選手育成に取り組んだ。女子の世界選手権には1987年の第1回大会から出場している。
長年、世界の舞台でもまれ、強化を積み重ねてきたことが、今日の地歩を築いたと言える。
個人種目だけでなく、チーム戦でも、女子の奮闘が目立つ。
その代表格が、サッカーのなでしこジャパンだろう。
昨年のワールドカップ(W杯)に続く世界一はならなかったが、各国が、なでしこのサッカーを研究し尽くしてきた中での銀メダルは、胸を張っていい。
女子は、卓球団体、アーチェリー団体、バドミントンのダブルス、バレーボールなどでも、見事な戦いぶりを見せてくれた。
選手は「支えてくれた人たちのおかげ」と喜びを語った。
日本オリンピック委員会(JOC)などは、好成績を残した競技の選手強化策を検証し、優れた点を他の競技のレベルアップに生かしていくことが必要だ。
文部科学省は、女子選手の体調管理やトレーニングを専門的にサポートする女性スタッフの整備を今年度から始めた。
各競技の選手層は、世界的にみて、男子より女子の方が薄く、女子の強化がメダル増に結び付きやすいという戦略からだ。
選手側の要望を採り入れながら、効果的な支援体制を築き、4年後のリオデジャネイロ五輪では、今回以上の女子選手の活躍につなげてもらいたい。
躍動する女子選手の姿を見て、「私も将来、五輪でプレーしたい」と思った少女もいるのではないだろうか。ロンドン五輪を、日本の女子スポーツのすそ野を一層、拡大させる契機にしたい。
この記事へのコメントはありません。