日米両政府は、同盟関係の悪化を回避する努力を重ねるべきだ。
米軍の新型輸送機MV22オスプレイが岩国基地に陸揚げされた。一部で反対活動が行われたが、大きな混乱はなかった。
日米両政府は、今年発生した2件の事故報告書が公表され、安全性が確認されるまで、オスプレイを日本で飛行させないことで合意している。搬入にまで反対するのは、明らかに過剰反応だろう。
山口県で行った読売新聞の世論調査でも、岩国基地への一時駐機に「安全性が確認されれば賛成」との回答が54%に上っている。
MV22の事故率は海兵隊の全航空機の平均以下なのに、オスプレイだけが危険であるかのような主張は現実離れしている。
そもそも、事故が絶対に起きない航空機はあり得ない。安全性については、感情的にならず、冷静に議論する必要がある。
肝心なのは、日米同盟の重要性を踏まえ、オスプレイの安全性を十二分に確認するとともに、10月の沖縄・普天間飛行場への配備を予定通り実現することだ。
飛行性能に優れたオスプレイの配備は、在日米軍の抑止力を高めることも忘れてはなるまい。
26日には日米合同委員会が開かれ、オスプレイの飛行訓練に関する安全対策を協議する。政府は月内にも、防衛、国土交通両省の専門家や民間有識者らによる調査チームを訪米させ、4月のモロッコの事故報告書の説明を受ける。
森本防衛相も8月上旬に米国を訪問して、パネッタ国防長官と会談し、オスプレイに試乗する。
一連の協議を通じて、事故原因を検証するとともに、再発防止策の徹底や、より安全な飛行ルートの設定を求めることが大切だ。
来日したカーター米国防副長官は記者会見で、安全性の確認を最優先させる考えを強調した。
その言葉通り、米政府には、事故に関する情報提供に積極的に協力し、オスプレイの安全対策を強化してもらいたい。
疑問なのは、民主党の前原政調会長が「沖縄、山口の民意を軽く考えすぎている」などと語り、オスプレイの配備延期を公然と求めていることだ。
前原氏は、外交・安全保障通の与党幹部として、本来、配備先の自治体などに協力を求めるべき立場にある。政府・与党の足並みが乱れていては、地元の理解を広げることは到底できない。
日本側から日米同盟を揺るがすことがあってはならない。
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