国会延長へ 民自公の連携で政治を動かせ

毎日新聞 2012年06月23日

延長国会 与野党は79日を生かせ

消費増税を柱とする一体改革関連法案が26日に衆院本会議で採決されることがほぼ固まった。民主党の小沢一郎元代表が反対を表明、離党にも言及し党は分裂の様相だ。

通常国会は9月8日まで延長されたがこのままでは延長幅の79日間を政争に費やしかねない。与野党は諸懸案に誠実に取り組み、とりわけ衆院「1票の格差」是正へ早急に立法措置を講じなければならない。

消費増税法案は採決に先立ち25日に集中審議も行われる。野田佳彦首相が目指した21日の採決が見送られた主因は党内事情だろうが、国会で修正案に一定の質疑を行うことは必要だ。棚上げされた民主党の社会保障をめぐる公約の扱いや今後具体化する低所得者対策について、首相の見解が問われる。

26日に見込まれる衆院本会議採決で最大の焦点は民主党造反票の動向だ。これまでの党内手続きにもかかわらず反対する小沢元代表らの主張は理解できないが、首相が政権を懸ける法案に造反する以上、離党に踏み切ることはうなずける。よもや、党にとどまったまま別会派を結成するような発想などあるまい。有権者から選ばれた国会議員として、しっかりとけじめをつけてもらいたい。

延長国会はほかにも結果を出すべき多くの課題がある。とりわけ、憂慮すべきは違憲状態の衆院「1票の格差」是正が相変わらず進んでいないことだ。

民主党は小選挙区「0増5減」の是正措置だけでなく、比例代表の定数を40減らし、一部は中小政党に有利な小選挙区比例代表連用制を導入する法案を単独で国会に提出した。連用制については複雑さなど、さまざまな問題点も指摘されている。与野党協議も進まぬままの拙速な提出は理解できない。

選挙制度改革には与野党の幅広い合意形成が必要だ。まずは違憲状態解消へ「0増5減」の立法措置を講じることが何よりも先決だ。民主党の一連の対応は衆院解散先送りの道具として選挙制度問題を利用しているとのそしりを免れまい。

赤字国債を発行するための特例公債法案の成立を野田内閣が迫られている構図は昨年の菅内閣時代と同様である。予算関連法案がねじれ国会の下で国会攻防の人質となる構図を繰り返してはならない。与野党は処理を急ぐべきだ。

国家公務員に労働協約の締結権を認める公務員制度改革関連法案も、各省人事の一元管理など自公政権時代から積み残された課題を含む懸案である。橋下徹大阪市長が求める「大阪都」構想の法制化は地方自治の根幹にかかわる。国会は大幅延長に恥じぬ成果を示してほしい。

読売新聞 2012年06月21日

国会延長へ 民自公の連携で政治を動かせ

通常国会が大幅に延長されることになった。

民主、自民、公明3党は、最重要課題の社会保障・税一体改革関連法案の成立に万全を期すとともに、連携して山積する懸案の処理を進めなければならない。

民主党は、与野党国会対策委員長会談で、21日に会期末を迎える通常国会を9月8日まで延長する方針を示した。

一体改革関連法案は延長後の22日にも採決される見通しだ。

野田首相は、21日までに衆院を通過させることを明言してきた。だが、民主党は、3党合意の了承手続きに時間をかけ過ぎた。やむを得ないだろう。

問題は、反対派議員が依然、採決を認めようとしないことだ。

首相は、党両院議員懇談会で「一定の時期には結論を出し、みんなで力を合わせて乗り越える。そういう政党をぜひ作りたい」と法案への理解を重ねて求めた。

しかし、出席議員からは、法案の了承手続きには問題がある、などとする異論が相次いだ。

民主党は手順を踏んで法案を了承した。民自公3党による合意は重い。それでも採決に反対するのは、与党議員として無責任だ。

民主党執行部は、党分裂を避けようとして、採決の先送りに走ってはならない。

与党が大幅に会期延長する背景には、2閣僚問責を巡る野党の抵抗の影響で、多くの法案が審議されないでいることがある。

一体改革関連法案の修正協議を通じて、民自公3党間では、協調機運が高まっている。これを大切にしたい。

赤字国債の発行を可能とする特例公債法案の成立は欠かせない。自民、公明両党は反対姿勢を崩していないが、3党で打開の道を探るべきである。

原子力の安全行政を担う「原子力規制委員会」の設置法がようやく成立した。規制委発足に向けて委員長と委員4人の人選と、国会での同意取り付けが急務だ。

さらに衆院選挙制度改革が残っている。民主党は「1票の格差」の是正策や、比例代表連用制の部分導入を盛り込んだ公職選挙法改正案などを国会に提出した。

だが、連用制は中小政党を比例選で優遇し過ぎるため、小党分立となり、政治が安定しなくなる可能性がある。しかも、仕組みが複雑で分かりにくい。

やはり、違憲状態からの脱却が最優先だ。民自公3党が一致している「0増5減」の格差是正策を先行して実施すべきである。

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