通常国会が大幅に延長されることになった。
民主、自民、公明3党は、最重要課題の社会保障・税一体改革関連法案の成立に万全を期すとともに、連携して山積する懸案の処理を進めなければならない。
民主党は、与野党国会対策委員長会談で、21日に会期末を迎える通常国会を9月8日まで延長する方針を示した。
一体改革関連法案は延長後の22日にも採決される見通しだ。
野田首相は、21日までに衆院を通過させることを明言してきた。だが、民主党は、3党合意の了承手続きに時間をかけ過ぎた。やむを得ないだろう。
問題は、反対派議員が依然、採決を認めようとしないことだ。
首相は、党両院議員懇談会で「一定の時期には結論を出し、みんなで力を合わせて乗り越える。そういう政党をぜひ作りたい」と法案への理解を重ねて求めた。
しかし、出席議員からは、法案の了承手続きには問題がある、などとする異論が相次いだ。
民主党は手順を踏んで法案を了承した。民自公3党による合意は重い。それでも採決に反対するのは、与党議員として無責任だ。
民主党執行部は、党分裂を避けようとして、採決の先送りに走ってはならない。
与党が大幅に会期延長する背景には、2閣僚問責を巡る野党の抵抗の影響で、多くの法案が審議されないでいることがある。
一体改革関連法案の修正協議を通じて、民自公3党間では、協調機運が高まっている。これを大切にしたい。
赤字国債の発行を可能とする特例公債法案の成立は欠かせない。自民、公明両党は反対姿勢を崩していないが、3党で打開の道を探るべきである。
原子力の安全行政を担う「原子力規制委員会」の設置法がようやく成立した。規制委発足に向けて委員長と委員4人の人選と、国会での同意取り付けが急務だ。
さらに衆院選挙制度改革が残っている。民主党は「1票の格差」の是正策や、比例代表連用制の部分導入を盛り込んだ公職選挙法改正案などを国会に提出した。
だが、連用制は中小政党を比例選で優遇し過ぎるため、小党分立となり、政治が安定しなくなる可能性がある。しかも、仕組みが複雑で分かりにくい。
やはり、違憲状態からの脱却が最優先だ。民自公3党が一致している「0増5減」の格差是正策を先行して実施すべきである。
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