「国会改革を考える」 政権交代を生かし大胆に

朝日新聞 2009年11月02日

「国会改革を考える」 政権交代を生かし大胆に

鳩山政権の誕生で、予算編成のやり方をはじめ、政治の姿が大きく変わろうとしている。国会も、永久与党、万年野党の時代の国会とは大いに違ってしかるべきだ。

政権交代が当たり前になる時代の新たな国会はどうあるべきなのか。議論が始まった。

具体的に声をあげたのは民主党の小沢一郎幹事長だ。衆院本会議で民主党の代表質問を省いたり、政治学者ら有識者の集まりである21世紀臨調に意見を求めたり、国会の大がかりな改革に乗り出す構えを見せている。

毎日新聞 2009年11月07日

国会改革 熟議して修正する場に

初めての本格的な政権交代が現実となった今、国会も政権交代時代に適応した姿に変わっていくのは当然だ。そんな中、学識経験者らで作る「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の小委員会が国会審議の活性化を目指す提言をまとめた。議論のたたき台として評価できる内容だ。与野党は早急に改革論議を始めてもらいたい。

野党はひたすら政府法案の廃案を目指し、与党は原案のまま成立させようとする。結果、国会は質疑の中身より、いつ採決するかの日程をめぐる攻防ばかりが横行する。従来の国会はこうした状況が続いてきた。

元凶の一つは国会が通常国会、臨時国会と細切れで会期が設定され、しかも会期中に衆参両院で議決されなかった法案は一定の手続きを取らないと廃案となる「会期不継続の原則」が続いてきたことだ。野党はこれを盾に「会期切れ・廃案」を狙い、与党は修正など念頭にないという姿勢を続けてきたといっていい。

今回の提言では、これを改めるため、150日間と定めている通常国会の会期を300日以上とするなど実質的に年中、国会を開いて議論する「通年国会」の実現を求めた。

また、民主党内にある「政府・与党は一元化されたのだから国会での与党質問は不要」との意見に対し、提言は「極論」と指摘し、与党も国民代表として審議に加わるのは当然と結論づけた。そして例外的とはしながらも、国会審議の結果、野党の提案に合理性があると判断した場合などは法案の修正はあってしかるべきだと指摘した。いずれも私たちが既に主張してきたところであり、妥当な提案である。

焦点の官僚の答弁を禁止すべきかどうかに関しては、委員会を政治家同士の討論を原則とする「議案審査会」と、官僚に行政の実情をただす「国政調査・行政監視会」に分ける案を示した。隠されがちな行政情報を明らかにするのは国政調査権を持つ国会の重要な使命だ。官僚答弁の一律禁止には私たちも反対であり、今後検討すべき一案だろう。

このほか党議拘束の見直しや議員立法の提出条件緩和など提言は多岐に及ぶ。いずれにしても目指すべきは議論を尽くす、つまり熟議して、法案をよりよいものに修正する、あるいは立案する国会である。

今回の提言は小沢一郎・民主党幹事長の要請に応えたものだ。このため自民党には反発もあるようだが、小沢氏の考えと一致していない提案も含まれている。小沢氏も与党・民主党に都合のよい改革ばかりを考えているのではなかろう。政党は与党にも野党にもなる。それを前提とした協議を進めてほしい。

読売新聞 2009年11月06日

国会改革 脱・法制局長官答弁を支持する

国会改革の論議が本格化してきた。旗振り役は小沢民主党幹事長だ。

小沢氏は、「『脱官僚支配』は国会から始めなければいけない。政治家同士で議論できる国会にするため国会法の改正もしたい」と語っている。与野党でしっかり協議してもらいたい。

小沢氏の改革案の柱の一つは、国会論戦の場から官僚を排除することである。内閣法制局長官も、その例外ではないと言う。

国会法で法制局長官は、首相や閣僚を補佐するため、人事院総裁らとともに「政府特別補佐人」として出席が認められている。

内閣法制局は、憲法解釈の政府統一見解を示したり、法案を現行法に照らし審査したりすることから「法の番人」とも言われる。

しかし、内閣法制局が集団的自衛権について、「保持しているが行使できない」とする解釈などを示してきたことが、これまでの憲法論議を(ゆが)め、日本の国際平和協力活動に必要以上の制約を課してきたことは否定できない。

小沢氏も、自民党幹事長時代の湾岸危機の際、「自衛隊の国連軍参加は、武力行使を伴う場合でも憲法上可能」と主張した。だが、当時の内閣法制局長官の答弁によって否定されている。

鳩山首相は、集団的自衛権の解釈は変更しないものの、「法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい」と語った。

平野官房長官も、過去の法制局長官の答弁には縛られず、政治主導で憲法判断をすると表明した。当然のことであり、首相や官房長官の考えを強く支持する。

内閣法制局は、これまで憲法解釈を確定する権限があるかのような扱いを受けてきた。これは改めていかなければならない。そのためには、法制局長官の国会答弁を制限していくことが必要だ。

ただ、過去の国会における憲法論議の責任をすべて法制局に帰するのは間違いである。

内閣の一部局に過ぎない法制局に解釈を委ね、憲法解釈を変更するという政治決断を避けてきた歴代政権に、最終的な責任があるのは明らかだからだ。

これからは、解釈変更を含め、政治家が、自らの見識と責任において、国会答弁にあたることが肝要になる。

それを前提にすれば、官僚を国会審議からすべて締め出す必要はない。行政の細部にわたる施策を聴取し、行政責任を追及する場には、言うまでもなく、官僚の出席を求めるべきである。

産経新聞 2009年11月05日

政治改革 「通年国会」の実現は支持

民主党の小沢一郎幹事長が、国会審議を活性化するため、官僚の国会答弁を法律で禁止するなどの国会改革を進めている。民間の有識者でつくる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)は小沢氏の諮問を受けて、「通年国会」への転換などを含む緊急提言を発表した。

これまでの国会は、法案を議論することより、手続きや審議のスケジュールを最大の争点とする「駆け引き」に終始していた。会期中に議決に至らない法案は次の国会に継続せず、廃案となるためだ。この「会期不継続の原則」が問題の根源である。

これを見直し、長期間、通常国会を行うことになる「通年国会」を実現することは大きな意味がある。民主党がこうした国会改革を実現しようとしていることは、評価したい。

小沢氏が唱える改革の主眼は「自分の言葉や信念ではなく、役人の作文を読み上げるだけでは、官僚政治からの脱却などできない」というものだ。

現在でも、政府側の答弁者は原則として首相や大臣、副大臣、政務官に限定されているが、内閣法制局長官などは「政府特別補佐人」として答弁が認められている。これらの例外を、国会法改正などでなくしてしまおうというねらいだ。

集団的自衛権をめぐる憲法解釈は、行使は認められないという内閣法制局長官の見解に歴代政府が事実上、拘束されてきた実態がある。まさに政治が判断を下すべきテーマであり、こうした点を是正できるなら大きな改革だ。

問題は、民主党が政策決定の「政府・与党一元化」を重視するあまり、議員立法禁止や与党質問の制限を打ち出したことだ。

他党からは「法律で禁止すべきものではない」との異論も多い。21世紀臨調の提言は、国会の委員会を「議案審査」と「国政調査・行政監視」に分けるべきだと主張している。

議案審査は国会議員どうしの討論の場とする一方で、行政監視などでは、むしろ政府参考人として官僚などの出席が必要になるとしている。国会が多様な機能を発揮するため、一律に官僚の発言の機会を奪うのではなく、きめ細かな検討が必要だ。

国会の活性化に向けた新たなルール作りについて、全政党が積極的に取り組んでほしい。

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