オスプレイ配備 着目すべき米軍の即応力強化

朝日新聞 2012年06月14日

オスプレイ配備 沖縄への無理解改めよ

米軍の新型輸送機MV22オスプレイの沖縄配備に向け、野田政権が関係する県や市との調整に乗り出した。

オスプレイは、4月にモロッコで墜落事故を起こした。その事故原因を配備前に公表するとしていた方針を転換しての配備に、沖縄県内では反発が広がっている。

それにしても、この間の政府の姿勢は、沖縄への無理解が際立つ。

日米両政府は当初、県民の反発をやわらげるため、沖縄への配備前に岩国基地(山口県)などに一時駐機して先行運用する案も検討した。だが、「地元の反発」を理由にこれを見送った経緯がある。

本土の自治体が反対すれば、政府はすぐ諦める。その一方で、全県を挙げて反対する沖縄には、ためらいもなく押しつける――。

沖縄県民がこう受けとめたとしても無理はあるまい。

すでに沖縄県内の41市町村議会のうち、39議会がオスプレイ配備反対と計画撤回を求める意見書や決議を可決している。米軍普天間飛行場のある宜野湾市では17日に大規模な反対集会が予定されている。

タカの一種、ミサゴを意味するオスプレイはヘリコプターのような上下動も、飛行機のような高速の水平飛行もできる。現在の輸送ヘリに比べ、速度は2倍、エンジン出力は3倍あり、航続距離は4倍に延びる。

老朽化した輸送ヘリCH46よりはるかに性能が高く、海兵隊など駐留米軍の運用上も不可欠と米軍は説明する。

だが、オスプレイは開発段階でも重大な墜落事故を何度も繰り返し、30人以上の兵士らが犠牲になっている。

日米の安全保障体制はゆるがせにできない。一方で、沖縄に限らず、兵器の配備を喜んで受け入れようという自治体はない。そこにどう折り合いをつけていくか。

今月就任した森本敏防衛相は航空自衛隊や外務省を経て研究者に転じた安全保障政策の専門家だ。だが、この問題は軍事的合理性や効率性だけでは決して割り切れるものではない。

普天間問題についての鳩山元首相の一連の発言に始まり、沖縄防衛局長の女性蔑視発言など政権は沖縄の神経を逆なでし続けてきた。

こんな状況下で持ち上がったオスプレイ問題だ。まずは沖縄を訪れて県民の声を真摯(しんし)に聞く。そして米側に伝え、もつれた糸をほぐす努力をするのも防衛相の仕事である。

毎日新聞 2012年06月12日

オスプレイ配備 沖縄の理解が前提だ

政府が、沖縄・米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に向けて動き出した。

防衛省は、沖縄配備の前に米軍岩国基地(山口県岩国市)で10日間から2週間、試験飛行する計画を岩国市長と山口県知事に伝え、協力を要請した。7月の試験飛行を経て8月に普天間に移動させるという。

MV22オスプレイは、4月にモロッコで、海兵隊員2人が死亡、2人が重傷を負う墜落事故を起こしたばかりだ。沖縄は普天間への配備に強い懸念を表明している。配備の強行は許されない。沖縄の理解を得て計画を進めるべきである。

オスプレイは、開発段階で4件の墜落事故を起こして安全性が問題視された機種だ。実戦配備後も、10年4月にアフガニスタンで空軍のCV22オスプレイが墜落している。

田中直紀前防衛相は、モロッコでの事故を受けて、配備前にその原因を公表すると約束していた。ところが、森本敏防衛相は「(事故)調査報告と配備のタイミングの相関関係は決まっていない」と、原因究明前の配備の可能性に言及した。事実上の方針転換である。これでは沖縄の理解が得られるとは思えない。

米側は先週、事故は機体の不具合ではないと日本政府に連絡してきたが、事故原因を特定する内容ではなかった。墜落の詳細な調査は今年末ごろまでかかるという。

オスプレイ配備は日米間の事前協議事項ではないというのが両政府の立場だ。しかし、安全性にかかわる問題となれば話は別だろう。04年8月には、普天間飛行場所属の大型輸送ヘリが同飛行場に近接する沖縄国際大学に墜落し炎上する事故があった。普天間周辺住民のみならず、沖縄県民の事故に対する危機感、騒音など生活被害への懸念は強い。森本防衛相の発言は沖縄への配慮を欠いたものと言わざるを得ない。

オスプレイは当初、沖縄の反発を和らげるため、岩国基地に一時駐機した後、普天間に配備する予定だった。しかし、山口県の反対で那覇軍港への直接搬入にいったん変更し、今度は那覇市長と市議会の反対によって岩国基地経由案に舞い戻るという経緯をたどった。

岩国基地から空路で普天間飛行場に移動すれば、配備反対派とのトラブルを避けられるという考えなのかもしれない。しかし、トラブル回避と安全性などの理解を得ることとは別問題である。

普天間への配備で沖縄との関係がこじれれば、最大の懸案である普天間移設問題に影響するのは必至だ。配備の強行は、森本防衛相が「職を賭して努力する」と語った移設問題解決の障害になりかねないことを深く自覚すべきである。

読売新聞 2012年06月12日

オスプレイ配備 着目すべき米軍の即応力強化

安全性だけでなく、在日米軍の即応力の強化にも注目し、冷静に議論することが重要である。

米軍の新型輸送機「MV22オスプレイ」が沖縄県の普天間飛行場に配備されることについて、沖縄県など関係自治体が反対している。

オスプレイは、飛行機とヘリコプターの機能を組み合わせた新型機だ。通常は固定翼で飛行し、離着陸時は回転翼を使用する。輸送ヘリCH46に代わって、今夏から24機が順次配備される予定だ。

自治体は主に、安全性を懸念しているが、誤解も少なくない。

1990年代の開発段階で事故が相次いだ。今年4月にもモロッコで墜落し、2人が死亡した。

だが、開発段階の機体の不具合は解消し、米軍の安全基準を満たしており、現在、海兵隊だけで130機以上が世界に配備されている。モロッコの事故も、機体の安全性には問題がないとされる。

こうした事実関係をしっかり踏まえることが大切だろう。

そもそも米兵の生命に直結する航空機の安全性に最も注意しているのは、米軍自身のはずだ。

オスプレイの性能も考慮すべきだ。CH46と比べて、最大速度は約2倍、搭載量は約3倍、行動半径は約4倍となる。航続距離は約3900キロで、朝鮮半島まで飛べるうえ、空中給油も可能だ。

厳しい北東アジアの安全保障環境において、有事の邦人救出や離島防衛で重要な役割を担おう。

沖縄配備には自治体の許可や同意は不要だが、安定した運用を続けるには、粘り強く地元の理解を得る政府の努力が欠かせない。

その意味で、政府が沖縄配備前に山口県の米海兵隊岩国基地に一時駐機し、試験飛行を行う方向で調整しているのは評価できる。岩国市長は態度を保留しているが、政府は説得を続けてほしい。

疑問なのは、オスプレイの早期配備を容認する森本防衛相に対して、民主党沖縄県連が辞任を求めたことだ。民主党本部は、政権党として、政府任せにせず、県連に翻意を求めるのが筋だろう。

10日の沖縄県議選では、前回4議席を得た民主党は1議席しか獲得できず、惨敗した。鳩山元首相が普天間問題を迷走させ、地元の信頼を失墜させた影響だろう。

自民、公明など県政与党も前回同様、過半数を確保できず、仲井真弘多知事は中立・野党系に配慮した県政運営を求められる。

政府は、米軍基地問題と沖縄振興の両方を着実に進め、地元の信頼回復を図ることが肝要だ。

産経新聞 2012年06月13日

オスプレイ配備 日本の平和と安全を守る

米軍が来月にも沖縄の普天間飛行場に配備を予定する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをめぐり、野田佳彦政権が関係自治体への協力要請など準備作業に着手した。

北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出などで日本の周辺環境が険悪化する中で、米海兵隊の装備・能力を向上させるオスプレイの導入は、日本の平和を守り、日米同盟の抑止力を高める上で不可欠といえる。

初仕事にあたる森本敏防衛相には、丁寧な説明などを通じて粛々と配備を進めてもらいたい。同時に、日本の安全に欠かせないのは普天間移設だ。野田首相もこれを機に地元説得を強め、移設実現に改めて全力を投じてほしい。

オスプレイは海兵隊の主力兵員輸送機の後継機で、沖縄には計24機が順次配備される。飛行機とヘリの機能を併せ持ち、現行の大型ヘリCH46よりも騒音が少なく、速度は約2倍、搭載重量は3倍という。航続距離が約6倍の2200キロあり、無着陸で朝鮮半島をカバーできる点も重要だ。日本の防衛や地域の安全に対する貢献を飛躍的に高めることができる。

配備に地元自治体の許可は不要だが、政府が安全性などに配慮して岩国基地(山口県)へ一時駐機させ、事前に試験飛行を行う対応を選んだのは妥当といえる。

見過ごせないのは、4月にモロッコで起きたオスプレイの事故について、森本氏の「配備前に米側報告書が出るのが望ましいが、そうならないこともあり得る」との発言に、民主党沖縄県連が辞任を要求したことだ。首相は12日の衆院予算委員会で「大臣の真意も聞かずに罷免要求とは飛躍がある」と県連に不快感を示したが、それですむ問題ではあるまい。

同県連は普天間問題でも「県外・国外移設」を掲げ、政府・党中央の方針に真っ向から対立している。党代表でもある野田氏が県連のこうした矛盾を放置しているのは到底理解しがたい。

10日行われた沖縄県議選で民主党は1議席しかとれない惨敗だった。同県連の無責任な主張を県民が厳しく見ている表れだろう。

野田首相は23日に糸満市で開かれる沖縄全戦没者追悼式への出席を検討中という。危機に直面する日本の安保情勢と普天間移設の必要性を地元で根気よく説明し、党県連の誤った姿勢をただす機会にしてもらいたい。

比嘉秀季 - 2012/08/25 10:32
貴方がたマスコミは日本の状況がどのような立場におかれているかよく考えて報道してください。日本は今自国防衛では中国、韓国の近隣諸国からの
領土を守ることが出来ない状況においてどうすか、日米同盟にたより守る以外は道はないと思います。
それを踏まえて今の日本はまず尖閣を中国から守ることを最優先に考え日本のマスコミも左翼思想的な報道じゃなく中立な立場で報道してください
そうでないと竹島を韓国が実行支配している事態になってからは遅いです。(沖縄を中国侵略から守る県民の会)
この社説へのコメントをどうぞ。
お名前
URL
コメント

この記事へのトラックバックはありません。

トラックバックはこちら
http://shasetsu.ps.land.to/trackback.cgi/event/1067/