島サミット 太平洋の友と連携を

朝日新聞 2012年05月25日

島サミット 太平洋の友と連携を

パラオ、サモアなど太平洋の12の島国・地域の首脳らが集う「太平洋・島サミット」が、きょうから沖縄で始まる。

地球温暖化による海面の上昇で水没が懸念されているツバルもメンバーだ。2日間にわたって経済協力や環境問題などを話し合う。

1997年から3年ごとに日本で開いて、6回目になる。

もともと、戦前に日本が一部を委任統治していたこともあり、親日的な感情が強い地域だ。国際会議の場でも日本を支持してくれることが多い。

こうした地域との関係をさらに強めることで、日本外交の幅を広げていくべきだ。

これまでにも、日本の援助で太陽光発電や海水淡水化装置を導入したり、廃棄物処分場の施設を更新したりして、連携を深めてきた。

東日本大震災では、各国から義援金が寄せられるなど、友好・協力関係は育っている。

日本にとって大洋州地域は、カツオやマグロの漁獲量の8割を占める好漁場だ。

また、パプアニューギニアで日本向けも含めた天然ガス開発が進むなど、天然資源の供給地でもある。

この地域では最近、中国の存在感が高まっている。天然資源の獲得をにらんで援助額を急増させたり、フィジーやトンガなどと軍事交流を活発化させたりしている。

こうした動きに、米国だけでなく、ロシアやフランスも関心を強めており、世界的に注目されつつある地域といえる。

だから今回、日本の招待で米国の国務省幹部が初めて参加した。オーストラリア、ニュージーランドも交えた討議で、野田首相は災害対策での新たな協力などを表明する。

東日本大震災を踏まえた内容で、570万ドルを世界銀行に拠出し、「自然災害リスク保険」を新設したり、地震や津波などの観測を強化したりする。新たな災害警報システムもつくる。これらを含め、今後3年間で数億ドル規模の支援をする。

先月から米国、中国、韓国との首脳会談やG8サミットなど、日本外交の根幹にかかわる舞台が続いた。だが、米軍の普天間飛行場移設が行き詰まったり、領土や歴史問題などで近隣諸国との関係がぎくしゃくしたりする場面が目立ち、成果は乏しかった。

小さな島国との外交は地味ではあるが、相手の自立を助ける意義は大きい。それは長い目で見れば、国際社会での日本の地位を高めていくことになる。

毎日新聞 2012年05月27日

島サミット G8に負けず大切だ

日本は小さな島国だが、目の前には広大な太平洋が広がっている。領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた総面積は国土面積の10倍を超え、世界で十指に入る。堂々たる海洋大国だ。海の国としての国際社会での生き方を考えたい。

太平洋の13の島しょ国・地域の首脳らを集めて沖縄県名護市で開かれた「太平洋・島サミット」は、そのいい機会だった。参加したのはミクロネシア、ソロモン諸島、サモア、トンガなど。いずれも地震や津波など日本と同じような自然災害に見舞われることが多い島々だ。サミットでは東日本大震災の知見を生かした防災協力や再生可能エネルギーの普及促進、人的交流の拡大などが話し合われ、日本と島しょ国の一層の関係緊密化がうたわれた。

島サミットは1997年から3年ごとに日本で開催している。今年は6回目で、うち沖縄開催は3回目となる。日本外交がイニシアチブをとって定着した島サミットをこれからも大事にしていきたい。

この地域はカツオ・マグロ漁場、天然ガスの供給地として日本にとって重要な地位を占めている。太平洋戦争の激戦地で日本と深いつながりのある国も少なくない。複雑な歴史はあるが親日的な国が多く、いずれも長い友好関係にある。

読売新聞 2012年05月27日

島サミット 米と連携し中国進出に対処を

太平洋上に散在する(とう)(しょ)国の発展を支えることが地域の安定につながろう。存在感を高める中国を念頭に、米国との連携強化も欠かせない。

パラオなど13の島嶼国・地域の首脳らが参加し、沖縄県名護市で開かれた太平洋・島サミットは、全日程を終えて閉幕した。

議長を務めた野田首相は記者会見で、「日本も島嶼国も自然災害に脆弱(ぜいじゃく)だ。日本の経験を共有したい」として、今回採択された首脳宣言で防災対策を柱に据えたことの意義を強調した。

日本は宣言の中で、島嶼国に対し、津波や地震の発生に備えるための「災害早期警報システム」の整備を支援するほか、世界銀行との協力で「自然災害リスク保険」を創設することを約束した。

首相は「財政は厳しいが、内向きにならず、世界の繁栄、安定に貢献していく」と、今後3年間に最大5億ドル(約400億円)の支援を行う方針を表明した。前回と同等の規模の額である。

島サミットは日本の主導で1997年以来3年ごとに開かれ、6回目だ。政府が島嶼国への支援を続け、信頼を醸成してきたことは貴重な外交資産だ。

今回、島嶼国首脳と日本の企業経営者ら経済界との会合が実現した。民間投資の促進が狙いだ。政府は民間と協調し、きめ細かな援助外交を進めるべきである。

島サミットでは、海洋を巡る環境保護や資源開発などの問題も議題に取り上げられた。

島嶼国に対しては、中国が積極的な援助外交を繰り広げている。支援総額では日本を追い抜き、豪州や米国に続く第3位になったと見られる。

特に、鉱物資源などが豊富なパプアニューギニアやフィジーへの援助の急増ぶりが目立つ。

今回の島サミットに欠席したフィジーの場合、欧米との関係が悪化していることからも、対中傾斜をさらに深める可能性がある。

こうした国々には、中国から温家宝首相や習近平国家副主席ら要人が毎年のように足を運んでいる。海軍艦船の寄港や軍事的支援だけでなく、移民も増えているという。戦略性がうかがえる。

今回、初めて米国が島サミットに参加した。アジア太平洋重視を打ち出したオバマ政権は中国への警戒感を強め、島嶼国との関係構築に乗り出している。

政府は米国のほか、島サミットに参加している豪州やニュージーランドと共に、太平洋地域の安定的発展に努めてもらいたい。

産経新聞 2012年05月27日

島サミット 成果を中国牽制に生かせ

沖縄県名護市で開かれていた太平洋地域の13島嶼(とうしょ)国・地域と日米豪などによる太平洋・島サミットは、海洋の安全と秩序を守るための連携強化や日本との防衛交流拡大などを盛り込んだ首脳宣言を採択して閉幕した。

島サミットは日本の呼びかけで創設されたが、今回は「アジア太平洋シフト」を鮮明にした米国の初参加に加え、軍事、経済、資源の各面で強引な海洋権益拡大を続ける中国を強く牽制(けんせい)する宣言をまとめ上げたことを評価したい。

とりわけ日米同盟には、共同議長の野田佳彦首相が「太平洋の平和と繁栄に貢献したい」と語ったように、地域の安全や秩序を守る重い責務がある。地域の期待に応え、首脳宣言に実効性を持たせるためにも、首相には一層の同盟強化に邁進(まいしん)してもらいたい。

「沖縄キズナ宣言」と題する首脳宣言では、「航行の自由」など海洋安全保障上の国際規範となる国連海洋法条約の重要性を強調、参加各国と日本の防衛当局間の交流拡大も明記した。

名指しは避けているが、中国が南太平洋や東シナ海、南シナ海などで力ずくの海洋進出を進め、漁業・海底資源を独り占めするような行動を取っていることを明白に意識した内容であり、当然だ。

また、中国は、今回欠席したフィジー軍事政権に突出した支援を投入するなど、資源、経済、軍事面で同国を取り込む不透明な行動で地域の懸念を募らせている。

野田首相は、今後3年で最大5億ドル(約400億円)の政府開発援助(ODA)を島嶼国支援に充てると約束した。米国やオーストラリアなどとも連携し、ODAを効果的、戦略的に活用したい。

島サミット参加諸国の海域はマグロ、カツオなど日本にとって有数の漁場でもある。今回、漁業資源管理や海底資源の保全・調査など地域協力の強化で一致したことも相互に有益な成果といえる。

島サミットは日本の提唱で1997年から3年ごとに開かれ、沖縄では3回目の開催となった。

中国の軍事的台頭で日本の安全保障環境は大きく変わった。米軍再編もからんで沖縄の戦略的重要性がとみに高まる中で、日米の役割に期待する各国の生の声が現地に届いた意義は小さくない。

首相は島サミット成功を好機とし、このことを広く国民、県民にアピールすることも大切だ。

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