パラオ、サモアなど太平洋の12の島国・地域の首脳らが集う「太平洋・島サミット」が、きょうから沖縄で始まる。
地球温暖化による海面の上昇で水没が懸念されているツバルもメンバーだ。2日間にわたって経済協力や環境問題などを話し合う。
1997年から3年ごとに日本で開いて、6回目になる。
もともと、戦前に日本が一部を委任統治していたこともあり、親日的な感情が強い地域だ。国際会議の場でも日本を支持してくれることが多い。
こうした地域との関係をさらに強めることで、日本外交の幅を広げていくべきだ。
これまでにも、日本の援助で太陽光発電や海水淡水化装置を導入したり、廃棄物処分場の施設を更新したりして、連携を深めてきた。
東日本大震災では、各国から義援金が寄せられるなど、友好・協力関係は育っている。
日本にとって大洋州地域は、カツオやマグロの漁獲量の8割を占める好漁場だ。
また、パプアニューギニアで日本向けも含めた天然ガス開発が進むなど、天然資源の供給地でもある。
この地域では最近、中国の存在感が高まっている。天然資源の獲得をにらんで援助額を急増させたり、フィジーやトンガなどと軍事交流を活発化させたりしている。
こうした動きに、米国だけでなく、ロシアやフランスも関心を強めており、世界的に注目されつつある地域といえる。
だから今回、日本の招待で米国の国務省幹部が初めて参加した。オーストラリア、ニュージーランドも交えた討議で、野田首相は災害対策での新たな協力などを表明する。
東日本大震災を踏まえた内容で、570万ドルを世界銀行に拠出し、「自然災害リスク保険」を新設したり、地震や津波などの観測を強化したりする。新たな災害警報システムもつくる。これらを含め、今後3年間で数億ドル規模の支援をする。
先月から米国、中国、韓国との首脳会談やG8サミットなど、日本外交の根幹にかかわる舞台が続いた。だが、米軍の普天間飛行場移設が行き詰まったり、領土や歴史問題などで近隣諸国との関係がぎくしゃくしたりする場面が目立ち、成果は乏しかった。
小さな島国との外交は地味ではあるが、相手の自立を助ける意義は大きい。それは長い目で見れば、国際社会での日本の地位を高めていくことになる。
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