アフガニスタンからの撤収期限を確認し、同時にアフガンへの長期的な支援継続も約束した。
米国のシカゴで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が、そんな成果を上げて閉幕した。
採択されたシカゴ宣言は、国際治安支援部隊(ISAF)の戦闘任務は「2014年末に完了する」と明記し、来年半ば以降、アフガン政府の治安部隊が戦闘任務を主導する、とうたっている。
それを可能にするよう、NATOは、アフガン部隊の訓練や装備強化に一層努めるべきである。
ISAF戦闘部隊の撤収期限は示されても、旧支配勢力タリバンとの戦闘が終わる気配はない。予定通り帰還するには、何より治安の改善が必要だ。
ISAFは昨年からアフガン側へ治安権限の本格的な移譲を進めている。アフガン部隊の能力向上と早期自立が求められよう。
戦闘の長期化と犠牲者の増加に伴い、NATO各国では自国軍部隊の早期撤収を求める世論が強まっている。
オランド仏大統領は、選挙戦で、仏軍部隊の撤収を予定より1年前倒しして「年内」と公約し、首脳会議でも明言した。
だが、現地情勢を勘案しないまま早急な撤収に走れば、追随する国が出る恐れもある。NATOの結束が緩むことになって、タリバンを勢いづかせるだけだ。
アフガンを再び国際テロ組織の温床に逆戻りさせてはならない。国際社会の連携が欠かせない。
タリバンは、地元部族社会に深く根を張っている。軍事的に制圧できたとしても、真の平和は訪れまい。米国は引き続き、タリバン穏健派との対話を探る努力を続け、アフガンの国民融和実現へ、環境整備を図らねばならない。
NATOは、15年以降も「強力かつ長期的な支援」を提供することを決めた。アフガンの安定を後押しする政治的意思を表明したものとして意義は大きい。
首脳会議後のNATOとの会合で、玄葉外相は、日本としてもアフガン治安部隊への支援を継続する方針を表明した。7月に東京で開くアフガン支援国際会議の成功に向け、協力も求めた。
日本は、民主党政権になって、09年から5年間で約50億ドル(約4000億円)の支援を約束し、実施中だ。実効ある支援になっているのか、検証が必要である。
汚職体質が問題視されるアフガン政府には、使途の透明性向上を求めていくべきだ。