いよいよ、あす22日、「東京スカイツリー」がオープンする。
高さ634メートル。東京タワーの2倍に近く、自立式電波塔では世界一となる。地上350メートルと450メートルの展望台から望む光景には、誰もが息をのむことだろう。世界に誇るべき建築物の開業を祝いたい。
ツリー工事中の昨年3月、最高点に達する直前に、東日本大震災の激しい揺れに見舞われた。だが、作業員にもツリーにも被害はなく、建設は着々と続けられ、1週間後に634メートルに到達した。
耐震建築技術の確かさを証明した出来事であると同時に、日本と日本人の、困難に屈しない姿を、そこに重ね見た人も多かったのではないか。
高度成長期の象徴として記憶された東京タワーのように、スカイツリーは、東日本大震災の試練を乗り越えていく、新たな時代の象徴となろう。
過去から現在に至る、日本の建築技術の結晶でもある。
天高く組み上げてもほとんどゆがみのない鋼管など、最新鋭の技術と職人技によって作られた建材が、全国から厳選された。
限られた広さの敷地に建設するため、塔の横断面が足元の正三角形から、上に行くにつれて円形に変わる。そこに「反り」「むくり」といった、寺社建築や日本刀などの造形が生かされた。
中心に「心柱」を通すという、地震の揺れを減じるための構造も五重塔の技法に学んでいる。
建設に携わった人たちは、東京タワーを作った先輩技術者を乗り越える意気込みで取り組んだという。その姿が今度は、未来の技術者の目標となるだろう。
テレビ電波などを発信する役目は、来年初めにも東京タワーから引き継ぐ予定だ。
ツリーと関連施設で年間3200万人の集客を見込む。地元・墨田区は経済波及効果を区内だけで880億円と試算している。
周辺には東京ゲートブリッジなど、新たな観光スポットが相次いで誕生している。相乗効果によって、外国からの観光客を大勢呼び込めるのではないか。
ただ、これほどの人が集まる新施設に対して、歩道や駅など周辺整備が十分に追いついているとは言えない。東京都と墨田区、施設関係者は、事故や混乱が起きぬよう万全を尽くしてもらいたい。
東京スカイツリーに近づく人たちの顔は、おのずと上を向く。日本全体を元気づける、新たな拠点になることを期待したい。
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