ようやく審議入り 自民は責任ある対案を

毎日新聞 2012年05月09日

ようやく審議入り 自民は責任ある対案を

終盤国会の論戦が始まった。消費増税を柱とする一体改革関連法案がようやく審議入りし、野田佳彦首相は「政治生命を懸けるというのは文字通りの意味だ」と改めて説明、自民党の協力に期待を示した。

法案の行方に政権の命運がかかる首相だが、参院で問責決議を受けた2閣僚を続投させ論戦にのぞむようでは覚悟に疑問符がつく。自民党の谷垣禎一総裁の責任も重い。具体的な対案を早期に党がまとめるよう、指導力を発揮しなければならない。

閣議決定から1カ月以上を経た。成立には会期の延長が避けられない状況だ。しかも、与党内にはそれでも決着は困難として先送り論が広がる。すでに瀬戸際である。

ところが首相は公選法違反の疑惑を抱える前田武志国土交通相、能力に疑問符がつく田中直紀防衛相を交代せず審議にのぞみ、答弁でも続投方針を示した。自民党が全面審議拒否方針を転換したのは当然だとしても、だからといって2閣僚の問題が消えたわけではない。

これでは野党側の強硬姿勢をあおるようなものだ。ねじれ国会の下で消費増税法案や予算関連法案の成立を迫られる重みをどこまで認識しているのか。

衆院議員の任期満了まで増税を実施しないのだから消費増税方針は政権公約違反ではないとする首相の論法も説得力に乏しい。路線を変えた事情を率直に説明し、国民に真摯(しんし)にわびるべきであろう。

首相以上にその判断が終盤国会を大きく左右するのが谷垣氏だ。

産経新聞 2012年05月12日

「増税」審議入り まず問責2閣僚の更迭だ

衆院本会議で消費税増税法案が審議入りしたが、この法案を含めて政府の社会保障と税の一体改革法案には問題点があまりに多い。

よりよい改革を実現するには、一刻も早く与野党が修正協議を行う必要がある。だからこそ、野田佳彦首相も答弁で「与野党の建設的議論が必要だ」との認識を改めて示したのだろう。

しかし、現実には首相が話し合いの環境を整えていないことが大きなネックとなっている。問責決議を可決された田中直紀防衛相、前田武志国土交通相は続投させ、小沢一郎元民主党代表の証人喚問要求に応じていないことだ。

消費税増税法案が今国会で成立しないと、社会保障制度や財政への影響は計り知れない。まず首相が腹をくくらなければ、与野党協議に向けて事態は動くまい。

消費税増税は、社会保障の安定財源を確保するために避けられない課題だ。しかし、政府の一体改革法案からは、高齢化で増え続ける年金や医療、介護費用をどう抑制し、制度を維持していくのかの道筋が全く見えない。

それどころか、社会保障を逆に膨張させようとしている。

例えば、莫大(ばくだい)な税財源を必要とする「最低保障年金」の創設だ。70~74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げやデフレ下で年金額を下げる自動調整の仕組みなど、国民の負担増につながる改革案は軒並み先送りしてしまった。

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