野田内閣の2閣僚に対する問責決議がきのう、参院本会議で可決された。
しどろもどろの国会答弁を続ける田中直紀氏に、防衛相を任せるのは不安だ。前田武志国土交通相も、大臣の肩書を使って所管業界に選挙での支援を働きかけたとしか見えない。
だから私たちは、問責決議の乱発を批判しつつも、今回は速やかな辞任を求めてきた。
しかし、野田首相は続投を許し、両氏もその意向だ。理解できない。
首相は事態を打開するために、更迭もためらうべきではない。このまま、消費増税を含む税と社会保障の一体改革などの重要法案の成立が遅れていっていいのか。
それにしても、である。
国会で全面的な審議拒否に入った自民党の態度も、どう見てもおかしい。
いまや国会で見慣れた光景になった問責決議と審議拒否の連続技だが、こんどの自民党は異例ずくめだ。
まず、決議の可決を待たずに審議を拒み始めた。しかも2閣僚が出席しない委員会にも応じない。そこで採決された中小企業の振興のための法律や、火災予防のための消防法の改正案は、2閣僚の問題とは何の関係もない。
次に、タイミングだ。民主党政権で5、6人目の問責決議の可決だが、これまでは国会の最終盤ばかりだった。長期の国会空転を避けるという暗黙の了解があったからだ。今回は、まだ会期末まで2カ月ある。
共闘している公明党も、自民党を批判する。問責閣僚が所管する課題以外は審議に応じるのが「基本的なルール」だという立場からだ。
私たちは、野党が閣僚の責任をとことん追及するのは当然だが、必要な法案の審議には応じるべきだと考える。
閣僚にどれほどの問題があろうと、必要な政策遂行まで滞れば、国民生活に支障をきたす。
それは、まさに国会全体の自殺行為だ。自民党は、この点をどう考えるのか。
いま衆参両院とも一票の格差が、司法から「違憲状態」などと指摘されている。早く是正すべきだ。議員歳費の削減でも民主、自民、公明3党で合意しながら放置するのか。
そもそも東日本大震災の復興は、始まったばかりだ。
原子力規制庁をつくる法案にいたっては、まだ審議すら始まっていない。
いま国会が政争を繰り広げ、空転していいはずがない。
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