対「北」議長声明 これで核実験阻止できるのか

朝日新聞 2012年04月18日

北朝鮮 安保理声明にこたえよ

北朝鮮が「人工衛星の打ち上げ」と称して、事実上の長距離弾道ミサイル発射実験に踏み切ったことに対し、国連安全保障理事会が「強く非難する」という議長声明を出した。

声明は、発射を過去の安保理決議に違反すると認定した。

北朝鮮がさらに発射や核実験をした場合には、安保理として相応の行動をとると予告し、北朝鮮に圧力をかけた。

発射から間を置かずに、北朝鮮の後ろ盾になってきた中国の賛成も得て、中身のある声明をまとめたことを評価する。

国際社会の一致した声を、北朝鮮は重く受け止めるべきだ。

日本には、より重みのある決議にすべきだとの声もあった。

だが北朝鮮を追いつめたくない中国が決議に慎重で、議長国の米国は、形式で譲るかわりに強い内容にすることを選んだ。

これまでの安保理決議で、北朝鮮はすでに、武器やぜいたく品の禁輸など広い制裁を科されている。新たに決議をしても、実際の効果は限られるという事情もあった。

米政府は一方で、2月に米朝間で合意した食糧支援の中止を決めた。オバマ大統領は「悪行にほうびは与えない」と語っており、予想された対応だ。

オバマ氏は「挑発や脅しを受けて譲歩する、という過去のやり方を変える」との方針で、北朝鮮に向き合ってきた。

2月の合意で米朝関係の改善が進むかと思われたが、北朝鮮は自らその機会を手放した。

北朝鮮は声明を米国の敵対的行動と非難し、合意に「これ以上、拘束されない」とした。だが声明は自身の振る舞いがもたらした結果であり、筋違いだ。

北朝鮮が、また核実験をして揺さぶりをかける、との見方もある。瀬戸際外交は通用しないという教訓を学び、無用な挑発を控えるよう強く求める。

米国は11月に大統領選を控える。北朝鮮に譲歩すると「弱腰だ」と批判されるため、オバマ氏は動きにくくなった。

北朝鮮は、ウラン濃縮による核開発にひそかに取り組んでいたが、米朝合意にはこの活動の中止も含まれていた。まずは北朝鮮が濃縮をやめ、国際社会との共存に向けた姿勢を示すべきだ。合意通りに国際原子力機関(IAEA)の監視要員を受け入れることも必要だ。

中国にも改めて注文したい。

中国が一番恐れるのは地域の不安定化だが、不安定にしているのは北朝鮮だ。これ以上の混迷を招かぬように、中国はあらゆる手段を使って北朝鮮に働きかけるべきだ。

読売新聞 2012年04月17日

対「北」議長声明 これで核実験阻止できるのか

北朝鮮の長距離弾道ミサイルを巡る国連安全保障理事会の協議は、発射の強行を強く非難し、安保理決議への「重大な違反」と認定する議長声明の採択で決着した。

議長声明は、北朝鮮に、新たな弾道ミサイル発射や核実験の実施をしないよう要求し、違反した場合は「安保理が相応の行動を取る」と警告した。各国にも、既存の安保理決議の制裁措置を徹底するよう求めている。

3年前、北朝鮮が今回と同じく「衛星」打ち上げと称して長距離弾道ミサイルを発射した時も、安保理は議長声明で非難した。今回は、より強いメッセージとなったとは言え、拘束力のある決議でなかったことは物足りない。

常任理事国の中国は、北朝鮮へ強い圧力をかけることに慎重姿勢を崩していない。自国の安定が損なわれることも警戒している。

米国との間で、内容は強めても形式は拘束力のない議長声明にする妥協が図られたのだろう。

これで、北朝鮮の3回目の核実験やさらなるミサイル発射を阻止できるのか。大いに疑問だ。

安保理は、北朝鮮がミサイル発射や核実験を行うたびに、議長声明や決議で、非難と中止要求を繰り返してきた。だが、軍事的措置や本格的な経済制裁に踏み込んだことはない。北朝鮮が痛痒(つうよう)を感じるはずもない。

今回も、北朝鮮は決議を無視して、ミサイル発射を強行した。既存の制裁決議に実効性がなかったことを示している。

日本にとって、北朝鮮の核とミサイルによる脅威は、日に日に増すばかりである。

問題は、北朝鮮と国境を接し、同盟関係にもある最大の貿易相手国、中国だ。その責任を自覚し、既存の決議に基づく核・ミサイル関連物資や贅沢(ぜいたく)品の禁輸と、禁輸品の貨物検査を徹底すべきだ。

「衛星」発射には失敗したが、金正恩・朝鮮労働党第1書記は、新設の国防委員会第1委員長にも就任し、最高権力者となった。

15日の軍閲兵式には、日本に届く中距離弾道ミサイル・ノドンなど多くの兵器が登場した。

金氏は演説で、軍事最優先の「先軍革命」路線の継承を表明し、経済建設に平和は大切だが、それ以上に「民族の尊厳と国の自主権が貴重だ」と強調した。核とミサイルの開発継続宣言だろう。

核とミサイルの開発と、経済立て直しは両立しない。そのことを、国際社会は、金正恩氏に認識させる必要がある。

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